【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

54.『恋愛小説はNGで』 ページ9

「今日発売だったのは不覚だったな……」

少年誌の新刊をコンビニで購入し、そのまま家への道を歩く。最近のコンビニは、コミック類が豊富だ。本屋が少なくなってしまったからか。ネット通販に今度からしようかな。これからの購入方法を考えながら、昼食も考える。

歩いてすぐの距離なので、車では来ていない。

もういっそ、ポアロでも行くか。ランチメニュー頼めばいいか。

最近まで切羽詰まっていた原稿を思い出し、そのままポアロへと足を向ける。やっぱり、次から大和さんに頼まれても、絶対に恋愛小説だけは書かない。

そう決め込んで、ポアロの扉を開けた。


「先生！新作が出来たんで、どうか読んでください！お願いします！」

入ってきて早々、いらっしゃいよりも前にその言葉が飛んできた。おい、いいのか、店員。

「愛梨、仕事は」

私が、釘を差すと思い出したように眼を丸くした。おい、本当に大丈夫か。

「あ！いらっしゃいませ。先生、珈琲ですか？」

「あと、ランチくれ。任せる」

私は席に座る。今日も安室はいた。笑顔で、此方を一瞥して、調理に入っている。梓さんも一緒だ。絵になるなぁ。

「で、読んでください」

そう言って茶色の封筒が押し付けられる。結構強引だなと思いながら、原稿を出す。

"私は恋をしている。"

そんな書き出しから始まる愛梨の新作は、恋愛小説だった。しかも、純愛ものだった。砂糖を吐きそう。

作品で胸焼けをしていると、気の毒そうに安室が紅茶を置いてきたので、読んだのがよくわかった。

暫く恋愛小説を読みたくねぇ。

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