【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

52.『転生作家の自嘲』 ページ7

一面に彩られたキッドの記事に、さっと目を通して、乱暴に閉じた。

宝石は、コナンの手によって返された。しかし、展示会は暫く中止になってしまった。

美術館の館長に、展示会の感想を送れば、嬉しそうに、そして寂しそうな声で笑っていた。

美術品の説明を自分がしたかったと館長は言っていた。私は、そういった芸術品には疎い。なので、館長の話は分かりやすく、そして何より、聞いていて楽しかった。

だから、あの美術館が好きだ。

通知が表示される。愛梨からだ。私は、通知からアプリへと飛び、彼女とのやり取りの画面を見る。

"先生！明後日、遊びに行きましょうよ！"

元気なメッセージの上に、嫌でも目につく自分のメッセージ。先日の分だ。

"あの事とは関係無い"

スマホの画面に映る、先日愛梨に送ったメッセージに対して、自分でも、嘘吐きだと嘲笑ってしまう。こんなことで、あの聡い娘をはぐらかせたとは思っていない。

――ふざけるな、これは、私のだ！

脳内に木霊する過去の断片をかき消す様に、卓袱台の上のパソコンを閉じる。乾いた笑い声をあげ、肩の力を抜いた。ふと過る消し去りたい過去に、私もまだまだだと天井を仰ぐ。

愛梨があの一件を知っているのは、承知の上だ。恐らく、安室も愛梨から聞いたかもしれない。

気にしていないといえば、嘘だ。

やはり、自分の作品の一つだからだろうか。今でも、もうあの題材に関しては、使用を控えている。

「……自分もまだ、子どもというわけか」

安室の事を言えないと、嘲笑ってしまった。

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囚人編、これにて閉幕です。
相変わらず、尻切れトンボですいません。

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