93.『昏迷紛擾 その壱』 ページ48
逃げようとしていた少年達の腕を掴む。彼らは突然の私の登場に、眼を見開いて、ああ!?と声を裏返らせた。ヤンキーじゃん。いや、ヤンキーか。
「なんだよ、アンタ」
うんざりしたように少年たちは、私を睨む。私は、彼らの手にまだ残っている癇癪玉を空いた手で指差した。
「徒らに人を煽る真似はやめなさい。君たちの行為は都の迷惑条例に引っかかっている可能性がある。補導されたいのか?」
「ハァ?なんだよ、急に。いいじゃん、俺達が何しようが、子どもの悪戯にケチつけんのかよ!」
やや条例という言葉にやや怯え、虚勢を張るように声を荒げた。一人が言い始めると、周囲もそうだそうだと、口を揃えて始める。予想していた返答に、面白みの欠片もないなと溜息をつきたくなった。
「そうだそうだ!ただ、これで遊んでただけで、勝手に喚いて逃げたのは──」
そう言って、彼らは未だに大パニック状態の群衆蔓延る道路を指差した。どこまでも責任転嫁だ。いや、あまりにも善悪の判別がついてなさすぎないか?おい、親、学校の先生、周囲の大人。ちゃんとしつけしろ。犯罪者予備軍だぞ。
「それでも君たちがやったことには変わりない。それと。残念ながら、ここはコンビニだ。防犯カメラはついている。
ああ、そうそう──君たちの様子を撮らせてもらったからね、これを例えば、SNSで私が配信すればどうだ?炎上するのは君たちではないか?」
ポケットから取り出したスマホをちらつかせる。炎上という言葉に、少年達は顔色を変えたが、吼えた。尤も、実は撮ってない。そんな暇が無かったし、防犯カメラの映像が流れば嫌でも特定される。最近のネットは怖いぞ。
ちなみに、実際に呼んだのは警察である。
94.『昏迷紛擾 その弍』→←92.『葦の髄から覗いたものは。』
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黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます!本当に、長らくお待たせしてすいません!週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります! (2021年5月24日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました!おかえりなさい、これからも応援しています! (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました!本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです!続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました!続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です!期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2019年2月14日 16時