【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

90.『人を待つは。』 ページ45

「お前、私の先回りしすぎだろう。あの娘を見なくていいのか、あの娘を」

盗聴器か発振器でもつけられてんのかとポケットを弄る。怪しいのは靴か、ジャケットだ。

「スマホを見てください」

そう促されて、ポケットを見るとスマホを取り出す。アプリ一覧に残らないので、まさかと、ある操作を行う。ぽこんと、表示されたアイコンに、眉を釣り上げた。

「盗聴アプリ入れたなお前〜〜！」

べしりと広い背中を叩き、はーと、そのアイコンを眺める。アンストしようとして、やめた。消さなくていいのかと沖矢がこちらを見るので、別にと告げる。

ガードレールに、身を投げる。青い空が眩しかった。ふと、あの金髪が、恋しくなった。でも、足は動かなかった。




この間のチェイスの折に落としたスマホ。そのスマホを交番へと取りに向かったコナンは、世良からの連絡を貰い合流する為に森山仁、もとい、安原仁の邸宅へとスノボーを向けていた。

「早かったね、コナンくん」

安原邸の向かいにある公園にて合流を果たした二人は、即座に行動へと移した。勿論、乗り込むためである。探偵というものは行動力も必要とされるのだ。

その刹那、安原邸のガレージから警告音が鳴る。車が出るという合図だ。これを逃せば、という焦燥感に駆られた二人はガレージに向けて走り出した。

二人は、ガレージから出てきたBMWへと駆け寄る──耳元で風を切る音が聞こえた。銃弾はBMWのフロントガラスを貫き、運転席に座っていた安原の胸へ突き刺さる。彼の身体は痙攣し、銃弾が突き刺さった胸からは鮮血が噴き出した。フロントガラスに彼の血が飛び散り、撃たれた安原が力無く項垂れると突然BMWが急発進した。──どうやら、弾みでアクセルを踏み込んでしまったらしい。

「マズい！逃げろ、コナン君！」

世良とコナンは素早く身を躱し、突進してくるBMWを避けた。二人の脇を通り過ぎた車は、その勢いのまま向かいのガードレールへとぶつかって沈黙した。煙を上げるBMWの運転席にはシートベルトをつけたまま、胸を血で濡らし、息絶えている安原の姿があった。

「そ、そんな……」

呆然と見つめる世良の横で、コナンは唇を噛む。だがすぐに切り替えると、彼の死の原因の銃弾の謎の為に脳を動かす。銃弾の位置を確認する。視線は公園から、その木々の隙間から除くライトアップされた東都ベルツリータワーと、二つの高層ビル。確認すると、世良と、コナンはすぐ様バイクへと身を踊らせた。

91.『懐宝惑人』→←89.『いぬ人を想う』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す