88.『亡霊たちが手を伸ばす』 ページ43
──今でも偶に夢に見る。
こうすれば、ああすればよかったのではないかという後悔の入り混じった記憶が、反芻される。苦しめと言わんばかりに、それは嘲笑っている。
「顔色、良くないですね」
「誰のせいだよ」
はて、なんのことやらと惚ける沖矢にぴしりと青筋が立つ。米花町から離れた喫茶店にて、再び相見えていた。
「こんなことをしてていいのか、今、取り掛かっている事件があるだろう」
「おや、どこからそれを?」
余裕綽々といった様子に、眉を跳ね上げた。ああ、もう、本当に、こいつは!思わず、テーブルに手のひらを叩きつけた。カン、と食器類が悲鳴を上げた。
「FBIが動いているのは知っているからな。あの子どもの隣に拠点をおいてるお前が動かないわけ無いだろう、しかも」
「──狙撃事件に事おいて、か?」
沖矢の声で赤井の発言。一瞬心臓が掴まれたようにドクンと大きく波を打つ。蛇に睨まれた蛙の気分を味わう。
「やはり、まだ連絡は取ってたんですね」
「君のこともそれで知ったからな」
その時点で分かってただろと手を振る。赤井と話すとすぐこれだ。嫌いじゃないが、こういう所は腹が立つ。私のほうが寿命全うした分と、現在生きている分の足し算で歳上なのに!お前のほうが、精神的に落ち着いてるってどういうことなんだろうな。
「それで、どうするんだ」
視線をずらす。重くのしかかるのは、今まで知っていて、私が目を瞑った人達。──どうすればよかったのだろうか。
警察はFBIと共同で、ハンターが連絡を取りそうな相手達と接触していた。
「では、ハンターさんが交戦規定に違反して、武器を持たない民間人を撃ったと告発された件に関してはどう思われますか?」
日本にてミリタリーショップを経営する元海兵隊二等軍曹、ケビン・ヨシノはキャメルからの質問に違うと吼えた。
「ハンターさんに限ってありえねえ!でっち上げだ!」
高木が反芻すると、ヨシノは頷く。そして、撃たれたウォルツが狙撃手であり、ハンターの腕を妬んでいたということを洩らした。彼はハンターがシールズに入るまでは狙撃手であり、自身の地位が奪われかねないとして彼のシルバースターを、奪ったのだと、唇を噛んだ。
そして、彼の交戦規定は無かったといい、その上で彼を英雄だと崇めた。
「もし、彼が助けを求めてきたら……悪いがオレはそれに応えるつもりだ」
そういったキャメルと高木に向けられたヨシノの瞳は、挑戦的な色が浮かんでいた。
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黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます!本当に、長らくお待たせしてすいません!週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります! (2021年5月24日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました!おかえりなさい、これからも応援しています! (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました!本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです!続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました!続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です!期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2019年2月14日 16時