【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

80.『転生作家の苦手なもの　その弐』 ページ35

釘を全て引き抜き、引き戸を開いて部屋へと足を踏み入れた。そこは、何もない部屋だった。その部屋の真っ白な壁には、赤いクレヨンで書き殴られたこんな文字で――びっしりと埋め尽くされていた。

"おかあさん、ごめんなさい"

"だして"

"おかあさん ごめんなさい"

それが羅列していた。

という話だ。ぶっちゃけ、こんなに文字が書かれてたら私でも死ぬわ。いや、私は死ぬかもしれない。
「ね、行きましょうよ！」

愛梨がチラシを片手に迫る。私はパソコンを見続けながら、拒否を続ける。

「なら、安室さんもつけます！」

愛梨がふふんと、ランチの仕込みをしている安室を指差した。

「いや何故そうなる」

「安室さん！お化け屋敷行きましょう！海月先生は怖くないそうです！」

だから何故そうなる！！

そんな感じで私が固まっていると、安室が二つ返事で了承してしまった。最悪だ。

「お化け屋敷が苦手な女性が大半なのに、お二人は凄いですね」

そんな爽やかな笑顔でそれを言われると、私は何も言えなくなった。

誰がなんと言おうと、私は苦手だ。

一度死んでいるが、お化けも何も信じてはいないが。怪談話も、お化け屋敷も、肝試しも全て苦手だ。

ぶっちゃけその場で固まってしまうレベルだ。

「じゃあ決まりですね！シフトの休み、私達が被ってる日が明後日なんですけど、先生、開けといてくださいね！」

強制かよ。いや、暫く何も入ってないけどさぁ。

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