78.『転生作家のスポーツ事情』 ページ33
「凄かったんですから、安室さんの豪速球!」
愛梨は、珈琲を飲む私にそう言った。どうやら、町内会の野球チームに応援として参加した安室が大活躍したらしい。
何をやってるんだ、トリプルフェイス。
頭を抱えたくなりながら、私はすっかりぬるくなったアイスコーヒーを啜る。
「そうだ、運動不足解消に先生もやりません?野球」
愛梨は笑顔を浮かべて、提案してきた。悪魔の笑みにしか見えないんだが、それ。
「見てるだけがいい。プロと甲子園」
スポーツ関連は、観戦のみの楽しみだけだ。昔も、今も。特に応援している球団や、チームは時間が開けば、直接観戦しにいっているし、取材の時も節度ある大人の対応をしている。
「眼が超えてますね……」
「愛梨さん、それはなんか違います」
愛梨の言葉に、肩に手を置きながら訂正する安室。うん、それは私も思ってた。
「ってことは、偶にイヤホンしながらガッツポーズしてたりするのって観戦してます?」
愛梨がとんでもない爆弾発言をした。私は思い当たる節があったので、ぴくりと固まった。
「……忘れろ」
低い声が出た。え、と呟く愛梨にもう一度忘れろと告げた。
「あれ、もしかして恥ずかしがってますか、海月先生。いいじゃないですか、ほら、この間、サッカー観戦した仲じゃないですか!」
面白いものでもみたという顔の愛梨に、私は眉を跳ね上げる。取り敢えず、穴に入って逃げたい。
「いいから忘れろ」
そんな私達のやり取りを見ながら、安室は後ろで小さく肩を震わしていた。
「そう言えば、先生が応援しているチームとか球団って知りませんよね」
頭を抱える海月を見ながら、隣でコップを拭く安室に愛梨は話しかける。
「海月先生、ルールくらいしか知らないって思ってるから言わないんですよ。本当に応援している人に悪いからって。
でも、あんだけ詳しく本を書いておいて、ルールしか知らないなんておかしいと思うんですけどね」
ボロボロと出てきた海月情報に愛梨は目を丸くする。好きな選手とか球団だとか出てきた。
「なんでそこまで知ってるんですか」
愛梨の言葉に、安室は少し照れた。
「この間掃除しましたよね。そればっか記事ありました」
「洞察力すげえです、安室さん……」
安室に脱帽するしかない愛梨であった。
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作者は基本的にスポーツはまじでわかってない人間です。ですがというかなのでというべきか、全てのスポーツをやっている方に尊敬心があります
更新遅くなりごめんなさい
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黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます!本当に、長らくお待たせしてすいません!週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります! (2021年5月24日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました!おかえりなさい、これからも応援しています! (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました!本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです!続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました!続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です!期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2019年2月14日 16時