【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

75.『上賀茂愛梨の悩み　その後』 ページ30

｢宮林先生は、愛梨のことは、大学内で見かけたらしい。丁度、講演会があったらしいな」

先日、漸く警察からの連絡があり、聞いてみるとそんな答えが返ってきた。愛梨は、思い出したらしく、頷いた。

その講演会で愛梨に一目惚れした宮林先生は、その日から色々と彼女を知る為に、色々と動いたらしい。どうやって知ったかは、教えてもらえなかったが、熱を上げた直後に、あの雑誌の取材というわけだ。

一ヶ月後、愛梨のストーカーは、開始された。

人気作家がストーカーだという事件は、また界隈に衝撃を与えた。風当たりも酷い。最近発売された、あの雑誌は、自主回収になった。

しかし、あの取材を受けた私に週刊誌から話が聞きたいと大和さんの所に電話がかかってくるとも聞いた。絶対、週刊誌なんかには出ない。顔出しされそう。あいつらにプライベートなんて言葉は無いのだから。

｢押収された自宅の中は、気持ち悪かったぞ」

なぁと、安室に声をかけると彼も苦笑いをした。愛梨を連れて行くわけにもいかなかったので、安室と一緒に自宅押収品を見せてもらった。愛梨の写真とか、愛梨の部屋から盗んだ物だとか、その中には原稿もあった。

問題の試験管の中身だが、宮林のものではなく、動物たちの混合血だった。それだけで考えたくはなかったが、恐らくそういうことだろう。色々別のことでも立憲されそうだ。っか、やっぱり何で、血液。

｢そして、愛梨さんの部屋には、ピッキングを使用したそうです」

当たり前のように言ってのけた安室に、私は小首を傾げた。

｢何でピッキング出来るのかを私が聞きたい」

何なんだ、この世界は。私も、出来た方がいいのか？私は日常生活に使用するスキルしか持っていないぞ。鍵開けに能力値振るべきなの？

｢引っ越し代金や、家賃とか諸々出してやるから、引っ越せば？」

私がそう言うと、愛梨は首を勢い良く横に振った。何故だ、貯金が貯まりに貯まってるぞ、私。

｢いや、そんなにお世話になるわけには行きません！！大丈夫ですから」

青褪める愛梨と、呆れた顔の安室。いや、あんだけの金銭あったら感覚狂うぞ。

｢愛梨さんの前に、先生が引っ越すべきだと思うんですが」

安室が棚に上げないと呆れた顔のまま言ってくる。まあ、たしかにボロいけど。

｢それは断る」

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