【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

59.『ストライカーのその後で』 ページ14

犯人は、元・天才サッカープレイヤーだと言うことで、世間は沸いた。面白おかしく書きたてる週刊誌や、ワイドショーで、何が彼を突き動かしたのかさえわかっていないコメンテイターやアナウンサーが取り上げるので、中々風当たりは辛いものだ。

あの作家二人が死んだ時も、コメンテイター達は蚊帳の外で言いたい放題だった。

「少年探偵団のお手柄だったそうです」

愛梨の言葉に、11人目のストライカーのラストを思い浮かべる。

――コナンくんの間違いでは？

いや、まあ。最後のシュートの下りは良かったと思うけれど。まあ、天才サッカープレイヤーの工藤新一くんが、相手だから可愛そうだな、犯人。

犯人の名前は忘れた。顔しか出て来ない。

「中岡さんもなんか、やるせないですよね」

愛梨がポアロの小さなテレビに映るコメンテイターを見つめながら、そう呟いた。まあ、たしかに、毛利探偵の行動も責められるところはある。

「だからといって、彼の行動は、関係のない人間を巻き込み、命の危険に晒した。更に、彼を援助してくれた企業の好意を仇で返したようなものだ」

私がそう言えば、愛梨は暗い顔を見せる。そこまで、君が感情移入することなくないか？

「愛梨さん。彼は犯罪者です。どんなことがあれ、誰かを危険に晒していいわけではないんです」

安室は暗い顔を浮かべる愛梨にそう諭す。流石、公安だ。どうやら裏で色々と動いていたようだし。正直、テロのようなものだ。

「そう、ですけど……」

愛梨は眼を伏せる。本当に、優しいやつだ。

――羨ましいほどに。

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