夢に見るほど 3 ページ25
「大丈夫? なんだか顔色悪いわよ」
母さんの心配そうな声。
「確かに、大丈夫か?」
「え、あぁ…………」
なんだか少し視界がぼやけて、くらくらする。
昨日テスト勉強のために少し夜ふかししたから、それでかもしれない。
「ごめん。ちょっと、今日は少し疲れているみたい。こんなに用意してくれたのに悪いけど、もう寝るよ」
「えぇ、兄ちゃんもう寝るの? 今日は兄ちゃんが主役の日なのに?」
「ごめんな」
その場にいられなくて、心配そうな顔の母さんと父さん、それから残念がる弟を置いて自室へと戻る……。
その前にふと顔を洗おうと思い、洗面台へ。
鏡にうつる自分の顔は酷く青ざめていて、死人のようだった。
それでも母さんそっくりの目と、父さんそっくりの口元のちゃんとした自分の顔はしっかりそこにあって、何故か安心した。
ちがう。
でも確かにそこにあるのは僕の顔だ。
普通の、自分で言うのも変だけど普通より少しいい顔。
そのはずなのに。
酷いめまいに襲われて、立っていられなくなってその場に座り込んでしまった。
頭が痛む。
あ、なんか、影がおかしい。
僕の影が、僕は動いていないのにぐにゃりと歪んだと思ったら、急に立体的になって膨らんで、見たことのない、変な人が出てきた。
白と黒に分かれた変な服を着た、頭が四角い変な人。ハロウィンの仮装みたい。
「あ、だれ」
「見つけたぞ」
「なぁ、に、が」
からだがうごかない。
あたまもあんまりうごかない。
「クエスチョン、動くなよ」
それ、だれのこと?
くろいのが、ぼくのうしろへのびた。
ぐちゃって、おと。
しらないひとが、さけんでるのが、ちかくできこえる。
ちのにおい。
こえ。こえが。
くらくなって。
め、みえない。
くらい。
まっくら。
あ。
「起きたか?」
私の部屋だ。
ゲームとか、服とかが散乱する間違いなく私の部屋。
そして私はベッドの上。
「……モノクロ」
珍しいことに、モノクロがベッド端に腰かけて私をじっと見ている。
逆はよくあるけどこれは滅多にない。出会ってから今までで1、2回くらい?
でもどうしてこうなっているんだろう?
思い出す。思い出す。目を覚ます前、私は何をしていたっけ?
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P様さん - ドーナツの所可愛すぎてめっちゃ好きです!更新楽しみにしてます……! (2023年4月17日 22時) (レス) @page30 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
降臨の颯 - 続編おめでとうございます。これからも応援しています。 (2022年2月25日 21時) (レス) @page4 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2022年2月25日 1時