契約 5 ページ7
「ここに書くんだ。間違えるなよ」
契約書の下の方の何も書かれていない所にを伸ばしたコードの先端で差しながらそいつが言う。
「分かってる」
そこに自分の名前を書くと、名前が一瞬だけ赤く光り契約書に焼き付いたような感じになった。
「……やっぱりやめるとか言い出すなよ」
「言わないさ、覚悟は出来てる……多分」
そう言った瞬間、鋭く尖った黒い何かがそいつの首の付け根のところに突き刺さった。
「え!? な、なに? 何が起こったの?」
「本当に何も知らないんだな、お前。契約に必要なんだよ。契約する奴の直筆の名前と、その相手の悪魔の血が必要なんだ。そのための自傷だ」
首に刺さっているというのに、何でもないような感じで言う。
「あ、そうなの……」
知らなかった。姉ちゃんは何も教えてくれなかったし、自分でも知ろうとしなかったから。
首に刺さったそれをよく見ると、それはそいつの影から伸びていた。影のようにも見えるがそれは確かに実体があるようだった。
「あいつの名前と俺の血を契約の証明としてお前に預ける。無くすなよ」
「ギィ」
いつの間にか俺の側からそいつの近くまで移動していた契約書が答える。
「良い返事だ」
影がフッと消え、首に空いた穴から赤い血が溢れてくる。その血をそいつは掬うように手に取り、契約書の俺の名前のすぐ上に垂らした。
血は吸い込まれるようにして消えていき、血がつけられた場所にはそいつの名前のような文字が浮かび上がったが、文字は滲んでいて読めなかった。
「これで契約成立だ」
すると、契約書は赤く強い光を放ち一瞬のうちにその場から消えてしまった。
これで契約完了。まだ実感がない。
「本当に、俺は……」
「右の手のひらを見てみな、印があるはずだ。悪魔と契約したっていう印がな」
言われた通りに手のひらを見てみると、赤い印が現れていた。それは逆さの十字架に人がすがり付いているような印だった。
いまいち実感が湧かないが、契約はちゃんと成立したらしい。
いつの間にか傷も溢れた血の汚れも綺麗さっぱり消えて元通りになっているそいつが真っ直ぐ立って俺の方を向いた。
「さて、雑魚悪魔のドグラ」
真面目な顔でそいつは言う。
「は、はい。何でしょう?」
「契約に従い、この俺モノクロがお前が強くなるまで手助けしてやろう。だから、契約完了まで死ぬなよ?」
そう言って目の前の悪魔、モノクロはニヤリと笑った。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時