烈火 14 ページ40
「何だよ」
じれったそうにモノクロが言う。
そうだ。今はこんなこと気にしている場合じゃない。
「あ、あぁ。えっと、考えたんだけど、あの女の子人質にしてさ、あいつの隙をつけるんじゃないかなって思ったんだ」
「なるほど。あの人間が弱点だと思ったって訳か」
「うん。大事にしているようだったし、ね?」
「で、居場所が知りたいと」
「そういうこと」
モノクロがキョロキョロと辺りを伺うような仕草をすると、暗くてよく見えないが俺の足元の影がじわじわと広がっていっている。
「あぁ、あの人間は海の方にいる」
「海?」
「あぁ」
周りをコンテナに囲まれていて景色がよく見えないから忘れかけていたけれど、ここは港、海がすぐそばだった。
「建物の近くだ」
影から黒い腕が伸びて来て、コンテナの向こうを指差す。
「ほら、早く行けよ」
そう言うとモノクロと黒い腕は影に潜っていってしまった。
早速指していた方向へ行こうと踏み出したとき、隠れていたコンテナの上から声がした。
「見つけた」
振り向いて上を向くのとほぼ同時に炎が降り注ぐ。
しまった。見つかってしまった。
でも、これだけならなんとも……。
そう思った瞬間、炎以外のものが勢いよく俺の顔面に向かって降ってきた。
顔の中央に衝撃と痛みが走る。
仰向けに倒れ、上下が逆さになった地面にレフトが着地するのが見えた。
炎で目くらましをし、コンテナの上から飛び降りて俺の顔面を思い切り踏みつけてまた飛んで着地、ってとこだろう。
あー、痛い。
マジで痛い。
鼻は折れてないみたいだけど、鼻血が垂れて口の中に入ってきて鉄の味が口いっぱいに広がって気持ちが悪い。
モノクロが言っていたように、心臓を潰されない限り死なないし、回復できるけど、痛いものは痛い。
それでも、早く起き上がらなくちゃ。
痛みをこらえ急いで体を起こそうとしたが、胸の辺りを思い切り踏みつけられた。
「ぐっ」
思わず声が漏れる。
レフトがこちらを見下ろしている。
これはまずい。
「ここまでです。悪魔」
踏みつけている足に力が入り、ミシミシと嫌な音と痛みがしている。
何とかしないと、殺される。
倒れたときに落とした折りたたみのナイフが視界に入った。
レフトに気付かれないように、そっと慎重にナイフへと腕を伸ばした。
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凪 - ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時