検索窓
今日:18 hit、昨日:10 hit、合計:27,464 hit

実践 10 ページ18

モノクロが入ってすぐのところにあった操作盤をいじると、じじじという音とともに電気がつき工場内が明るくなった。

 そこはかなり広い空間で、バスなどの大きい車が10台くらい入っても余裕くらいの広さだった。

 すでに機械などは撤去されていて、端の方に空の金属製の棚が2、3置いてあるのと、入ってきた方とは反対側にもう一つ出入り口があった。

「こんなとこ連れてきてどうするつもり?」

 リリアが言う。強めに言っているが、少し声が震えている。

「ん? あー、そうだな。食事」

「なにそれ、どういうこと?」

「食わないと強くなれないんだ」

 モノクロがそう言った瞬間、大きな音を立てて工場内のドア、シャッターが閉まった。割れてしまっていた窓などは黒い網のようなもので覆われていて、ドアなども黒い手が押さえつけており、ここから出る場所はすべて塞がれていた。

「捕まえた」

 いつの間にか元の姿に戻っていたモノクロが、意地の悪い笑みを浮かべながら言う。

 見れば窓やドアを覆う黒い網や手はモノクロの足元から伸びていた。

 俺もモノクロに合わせて変身を解く。

「え? どういうこと? 何なの?」

「なんで? どうして?」

 何が起こったのか理解できない少女達の声は震えていて今にも泣きそうだった。

「おい、お前」

 モノクロが俺の方を向いて言う。

「えっ? あ、何?」

「ここから逃げられないようにした、後はお前がやれ」

 そうだ。今モノクロがやることはこれで終わり。

 後は自分で何とかしなくては。

「……分かった」

「簡単だ、ぶっ殺して出てきた魂を食う、それだけだ。魂は白いビー玉みたいなやつだからな、間違えるなよ」

 少女達の方を見ると、自分達がこれからどうなるのか気づいてしまったようで、顔は引きつり血の気が引いていた。

「そ、そのために私達を……」

「そうだ。お前らみたいな尻と頭の軽い女は騙しやすくて助かるよ」

 モノクロが笑う。

「あー、えっと。なんか、ごめんね」

 廃工場内に二人分のばたばたと走り出す足音が響く。

 少女達は逃げようとして入ってきたところとは逆の出入り口へ走って行ったが、シャッターとモノクロの影が行く手を阻み出ていくことができなかった。

「誰か! 誰か助けて!」

「お願い! ここから出して!」

 半狂乱の少女達は外に向かって、大きな声で助けを求め始めた。

実践 11→←実践 9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
47人がお気に入り

プレイリスト この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )

設定タグ:オリジナル , 悪魔 , 人外 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- ネタ帳からきました。待ってやっぱりモノクロ好っきぃ!!! (2021年12月25日 21時) (レス) id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
ふな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張って下さい! (2021年7月24日 20時) (レス) id: eed263cb5f (このIDを非表示/違反報告)
Cry cry - 続きが楽しみです。がんばりんごー! (2021年6月22日 16時) (レス) id: 72089608d6 (このIDを非表示/違反報告)
ソウルズ(カービィ)LOVE(プロフ) - ワーッ!(?)どうも!はじめまして!読ませて頂きましたが、すんごく面白いです!頑張って下さい!応援してます! (2021年6月18日 21時) (レス) id: 604407214b (このIDを非表示/違反報告)
まきぴろん(プロフ) - 遅れてごめんなさい(汗)完成しました!!ありがとうございました。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 24af0dff4d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:衛生兵079 | 作成日時:2020年11月2日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。