やっと話せた sh #16

【番外編】二つの記念日 ページ18

。６月２０日 東浜巨





『雨 降り出したんだね』


シャワーを浴びて頭をゴシゴシしながら

冷蔵庫のペットボトルを取るとそのままの足で

窓辺に立つ私を後ろから抱きしめた巨くん


「誕生日が梅雨時期でいつも嫌だった
今年はAがいるから雨も楽しめるよ」


頬にかかる 巨くんの洗いたての髪が

ドキドキを加速させる


『なお お誕生日おめでとう』

「ありがとうA…俺 すげぇ幸せだよ」

『うん 私も…』


この幸せにはいろんな思いが込められている


肘の手術を終え


また投げたいと意欲を持てた彼



『プレゼントがあるんだけどもらってもらえます？』

「うれしい」

用意していた細長い箱を渡す


「開けてもいいでしょうか？」

『どうぞ』




(！！)

「A…この意味は？」


『……羽ばたけ 巨！！ かなっ？』


照れて その箱から中身を取り上げた彼女は

正面から俺の首に手を回すと


ひんやりした感触が鎖骨辺りをすべる


『シルバーでごめんね』

「そんなことない ずっと着けとくよ」


彼女がくれたシルバーのチェーンには

広げた翼のペンダントトップが揺れていた



「あのね Aお願いがあるんだけど」

『ん？私でできることなら何なりと』

「Aにしかできないことかな〜」

『えーなになに？』


俺は頭に乗っけたタオルを取ると正面に立つ
Aを抱きしめて



「好きなのはやーだけ にーびちしよう」

『･････』

(わかんなかったか･･･)


「A？」

抱きしめる腕を解き顔をみると彼女の目に溢れそうな涙が


『うれしい』

『好きなのはお前だけ･･･結婚しようであってる？』


ぽろっと目からこぼれた涙が綺麗だった

「Aしかできないでしょ？俺のお願い叶えてくれる？」

『はい』
『ちむわさわさ』

故郷の方言でプロポーズした俺

沢山の彼女との会話で沖縄の方言を教えたことがあった


「ちょっと待ってて」

俺は寝室から小さなケースを持ってきてAの前で開けた


「いつ渡そうか考えてたんだけど“今でしょ”って思って」


偶然か必然が俺が渡そうと思っていたリングにも

天使の羽がついていた


はめるとリングのほうが大きくて 二人で笑った

「ごめんサイズ直ししないとね」

『私も首につけてていいかな？』

「ちょっと待ってて」

巨くんが持っているチェーンにリングを通しつけてくれる


『///////』

目の前に巨くんの胸

自然と引き寄せられて抱きついてしまった




。

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