泡沫の記憶Ⅳ (ページ29)

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1日目ページ29

「一時間後に一回止まる。その後はしばらく＿＿＿」

「音楽流そうぜ！夏っぽいの！チューブだチューブ！」

「ポッキーちょうだい」

「バッカ夏といやキャロルの夏の終わりだぜ！」

「終わるのかよ」

「席は立つべからず！べからずなんだ皆！！」

『ふあ…ねむ……』

「しりとりのり！りそな銀行！う！」

「ウン十万円！」

「ねえポッキーをちょうだいよ」

「おい唯夜寝てんなよ！」

バスの中は皆がワイワイと盛り上がっている。

そんな中襲ってくる睡魔に素直になっていたら、背後から瀬呂君に叩き起こされた。

『あたっ……』

「折角なんだし盛り上がろうぜ、なあ爆豪」

そう言う瀬呂君が、私の隣に座る勝己にも話を振るが

「うるせえ、寝てろ」

と言われまして、大人しく従うことにした。

＿＿＿＿

＿＿

そして1時間後。

『…ん』

バスが止まった気配がして目を覚ます。

「……起きたんか」

隣から声がして、パチパチと瞬きを繰り返して脳を覚醒させると、大分視界が傾いている。

気がつけば、思い切り勝己にもたれるように寝ていたみたいだ。

『あ、ごめん』

上体を起こして勝己にそう言ったが、当の本人は頬杖をつきながら窓の外に視線を向けたまま、素っ気ない返事がかえってきた。

そして、休憩だと言われてバスを降ろされる。

……だが、そこは山に囲まれた何も無い場所だった。

「つか何ここパーキングじゃなくね？」

「アレ？B組は？」

予想外の場所に、誰かが呟いた。

確かに一緒に出発したはずのB組のバスも無い。

そう思っていると＿＿＿＿

「よーーーう、イレイザー！！」

「ご無沙汰してます」

ザッと現れた人物に相澤先生が頭を下げた。

「煌めく眼でロックオン！」

「キュートにキャットにスティンガー！」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ！！」」

『……………』

「今回お世話になるプロヒーロー"プッシーキャッツ"の皆さんだ」

呆然とその光景を見ていたが、相澤先生の言葉にハッとする。

なんだ、ヒーローか。

アイドルかと思った。

「連名事務所を構える４名一チームのヒーロー集団！ワイプシ！山岳救助を得意とするベテランチームだよ！」

グッと拳を握って即座に出久が反応している。

さすがだ。

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