メイド長はメイドを辞めたい。【d!】

メイド4 ページ4

「＿どうしたもこうしたもないやろ…!なんで血が出てるんや…!?」

『…へ?』

トントン様から言われた言葉に、一瞬間抜けな返事をしてしまった。

…このくらいの事で心配されなくても…私ごときの存在で…

「…いつ怪我したんや?」

『えっと…先程ゾム様を起こしに行った時、ですかね…?』

トントン様は、怒った感情に不安のような感情を混じらせて私に問う。

…何か、少しだけ、お母さんみたいだな、と思ってしまった。

ぼーっとしてると、トントン様はまた言葉を続けた。
　
「はぁ…ゾムには俺が粛清しておくわ。大体あいつはなぁ…」

『別に大丈夫ですよ…?!救急箱なんかも持ってこなくて良いですよ…!?』

「駄目や。ほら、手貸してみ。」

『大丈夫ですよ…!この程度業務に支障なんかきたしませんし…』

「駄目なもんは駄目言うとるやろ!」

この後も私とトントン様はこのようなやり取りを続けたが、最終的には私が折れる形となり、仕方なく治療を受けた。

「ふぅ…これでええかな。全く。無茶するんやから…」

…完璧にお母さん…と思ってしまった邪念はすぐ消し去った。

『お時間おかけしてすみません…。では、私はこれにて…トントン様、手当ありがとうございました。』

「何かあったらすぐ言う事や。まぁこの国だと何かありすぎるか…」

『ふふっ、そうですね。それでは失礼致しました。』

と言って部屋を後にした。手にした書類はずっしりとした重みがあった。こんなのをトントン様は毎日やってらっしゃる…ほんと凄いわね…私も頑張らないと…。

ｰｰｰｰｰｰｰ

部屋に書類を置いてきた私は、城の見回りをしていた。

城の見回りでやる事は、主に壊れてる箇所等の確認だ。これを清掃部門に報告しそれを直してもらうのだ。まぁそこまで大きな事はないのだが。

後は、これは本当に滅多にないのだが、城に入ってきた侵入者、及び観光客の排除、若しくは捕獲も一応仕事のうちに入ってる。

…しかしロボロ様がそもそも観光客を城に入れる前に発見しそしてそこで確保する為このようなケースは滅多にない。この国の防犯システムを甘く見ない事ね…。

『ん…ここ壊れてるわね。後で報告しましょうか。』

防犯カメラの一個のレンズが壊されていた。

…やはりいつもの内ゲバだろうか。直す身にもなって欲しいわよ…私はそこまで直さないが。直せるものは直すけれども。

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