雨の中で出会った少女は…

４７話 ページ49

「……はぁ？何言ってんだ嬢ちゃん……こんなんで生きてる実感が湧くわけねぇだろ」

『……そうですか』


そう言いAは無表情になり、手を伸ばした……駿太郎さんの首を狙って…


「おい！何やってんだよ！A！！」

「よせ！A！」

『放してください！私はこの人に生きてるという実感を湧かせているんです！』


そう言っておっちゃんと俺の手を振り切りまた駿太郎さんの首を絞めた


「あ…がっ……く……るし……」


そう言う駿太郎さんの声を聞いたAは手を離した


「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……」

『苦しかったでしょ？辛かったでしょ？酸素が回らなかったでしょ？ほら、だから今息を吸ってるでしょ？』

『この息を吸う、吐く、そして痛み、苦しみ、辛さを感じることが出来るのは生きてる人だけ……』

『死を意識すると初めて生きてる実感が湧くでしょ？そして、初めて生きてる実感が湧くと人間は強くなり変われる…』

「……A……」

『でももうこんなことをしてはいけない…もうこれで貴方は変われた、強くなることが出来た…だから助けを求めた……虐めがなんだ！そんなの世界のもっと過酷な人たちに比べたらまだ軽い方なんだ！』

「………………」

『だから……もうこんなことで死のうと考えないでください……』


そう言ったAは目に涙を浮かべながら笑った…また我慢をしていた


『では…これで失礼します……』


Aはそのまま帰りそうになったので慌てて俺とおっちゃんは追いかけた…その時に


「待ってください！！」


駿太郎さんが呼んだ…でもAはけして振り向かなかった……それでも駿太郎さんは


「……ありがとうございます！あなたのお陰で私に光が指しました！会社の虐めにも耐えてみせます！」


とお礼をした…その言葉にAは


『耐えなくて良い…ただその貴方を虐めている人を見返してやれ！それが貴方の出来る最高の復讐だ！』



そう言葉を残し杉崎家を出た……俺達も後に続いた
＿＿＿＿＿＿＿

そして、家に戻った俺はAを引っ張って部屋に連れ込んだ

そして抱き締めて言った


「……泣きたいなら泣け…………泣き止んだらまたいつも通りの笑顔を見せてくれ……」


そう言葉を掛けたら糸が切れたようにAの目から涙が溢れた

声を上げずにただただ涙を流していた



そして泣き止んだらまたいつもの笑顔を見せてくれた

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