4日目�� ページ10
車を走らせること約1時間弱。
目的の浜辺に着いた。
一応駐車場があるがこんな真夜中に海水浴客も居る訳もなくガランとしている。
「着いたぞー」
『わぁい！やったー！』
Aのシートベルトを外してやり、外に回ってから助手席の扉を開けてやる。
車のキーを閉めたことを確認して、階段を上がっていくと、そこには一面の砂浜と真っ黒な海が広がっていた。
「うわー、夜の海こわっ」
『てっちゃん！何も見えない！ざざーんって音がする！』
興味津々なAは今すぐにでも海に突っ込んで行きそうだったので慌ててその手を握り締めた。
『てっちゃん！手繋いでたら走れない！』
「走らせないために手ぇ繋いでんだってば」
俺がリードするようにゆっくりと砂浜へと降りていく。
波の音が大きく聞こえるが、その合間合間に俺達が砂を踏みしてる音も耳に届く。
「取り敢えず、波打ち際までは行くか」
『お水どこなの？』
「もうちょい先」
真っ暗なのでスマホのライトを懐中電灯代わりに足元を照らしゆっくりと歩く。
ザクザクと音を立てながら近付くと、少しずつ、砂も水気を帯びたような音に変化し始めた。
『てっちゃん〜…ざざーんって音大きくて怖いよ」
「これは波っつーの。お前の大好きな水の塊？みたいなの」
『そーなの？』
水と聞いた瞬間目を輝かせる辺り、やっぱりこいつは金魚なんだなぁと感じる。
海に近付けば近付くほど、月の明かりを感じて目も見えるようになってきた。
『あ！お水！』
「ほれ、これが海っていうんだ。水の塊だな」
『すごーい！！』
目をキラッキラにさせたAがそのまますぐに飛び込もうとしたので首根っこを捕まえて静止する。
「だめ！今日は見るだけ！」
『えぇーなんでぇ…』
「こんな真っ暗な海に飛び込むとか、死にに行くようなもんだろ！ダメです！」
『ちぇっ、はーい…』
口を尖らせてしゃがみ込むA。
波が寄せては引くのをじっと見つめている。
ダメって言われたことはちゃんと守るようで、少しでも水が足に着きそうになると律儀にちゃんと下がって避けている。
何だかそれが少しだけ可笑しくて、手だけな、と言ってやると嬉しそうに寄せてきた波に今度は少しだけ手を触れた。
『冷たい！こんな冷たいお水、金魚だったら死んじゃうなぁ』
まぁお前は海水魚じゃないしな、なんてツッコミはせず。
「ちょっと歩くか」
そう言って、少し水で冷たくなった手をまた握った。
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えみ - 話が美し過ぎた… (2020年7月20日 3時) (
レス) id: 4b46f7439f (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - *ameto*さん» ありがとうございます！曲とともに見て頂けて嬉しいです。イメージ通りのお話になっていたでしょうか？是非また他のお話も見て下さると嬉しいです！ありがとうございました！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» ありがとうございます！今回は今までの橙さんとは違った雰囲気のお話だったので、不安でしたがそう言って貰えて嬉しいです！でもやっぱりラブラブなお話が書きたくなるので、また次の橙さんに期待していて下さい！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
*ameto*(プロフ) - 完結おめでとうございます。こうなるとわかっていても避けられない、2人の運命にうるっと来ました…。神曲を教えてくださって、こんなに素晴らしい作品を読ませていただいて、本当にありがとうございました！ (2019年9月3日 0時) (レス) id: 7b77494f9e (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます！執筆お疲れ様でした！毎度のことながら、素敵なお話をありがとうございます！ヨウさんの書く橙さんが大好きです！心がギュってなって、きゅんってなって。次回作も楽しみに待ってます！また橙さんをお願いします！！！ (2019年9月2日 18時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨウ
| 作成日時：2019年8月27日 11時
