2日目�� ページ3
「ちょ、ちょちょっ、ちょっと待って！」
あまりに非現実的過ぎて言葉が出ない。
驚きのあまり立ち上がると、彼女は不思議そうに俺を見上げた。
目の前に座り込む彼女と、金魚鉢を何度も交互に見る。
確かに金魚鉢に金魚はいない。
目の前のこの子も、確かに白とオレンジのグラデーションのワンピースをきていて、金魚っぽいと言えば金魚だ。
でもイマイチ信じられない俺は、彼女をそっと見下ろした。
「証拠、ある？」
『しょうこ？』
「そう、君が、金魚だったって分かること！」
その言葉を聞くと、彼女はうーん、と唸りながら人差し指で頭をつんつんと啄く。
『てっちゃんのお家には、パパとママとてっちゃんと弟くんがいる』
「…それから？」
『てっちゃんは、らんちゃんがいつも私たち金魚にイタズラしようとする時に助けてくれた』
「…他には？」
『……てすとっていうのが悪くて怒られるからって、ママに内緒で私達のおうちの中にビリビリ破ってそのてすとっていうのを入れた』
「…あー…」
『弟くんがといれっていうのからなかなか出てこなくて、我慢できなかったてっちゃんは私達のおうちにオシッコを…』
「ストップストップストップ！！！！！」
まずい！このままだと小学生時代の悪事が全てバラされてしまう！！
慌てて彼女の口を抑えると、彼女は俺をじっと見つめたあとまたニッコリと笑った。
『てっちゃん、信じてくれた？』
「信じる、信じるしかないでしょ…」
バレてないと思ってたことは、全部金魚が見てたんだな…
久々に思い出した数々の失態に頭を痛ませつつ目の前の彼女は俺の手をゆっくりと握った。
『てっちゃん、お友達は、皆死んじゃった。ずっと、ひとりぼっちだった。けど、昨日てっちゃんが見つけてくれて嬉しかったよ』
言葉はとても痛々しく残酷だけど、目の前の彼女は淡々と話す。
あの薄汚れた水槽で、仲間がどんどんと旅立っていくのをなんども見て行ったのだろう。
『なんで、てっちゃんと同じ人間になれたか分からないけど、きっと神様からのご褒美だと思う』
そう言って嬉しそうに笑う。
俺は長い夢を見ているのか、それとも現実なのか。
分からないけれど、目の前の彼女の笑顔は本物だと思った。
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えみ - 話が美し過ぎた… (2020年7月20日 3時) (
レス) id: 4b46f7439f (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - *ameto*さん» ありがとうございます！曲とともに見て頂けて嬉しいです。イメージ通りのお話になっていたでしょうか？是非また他のお話も見て下さると嬉しいです！ありがとうございました！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» ありがとうございます！今回は今までの橙さんとは違った雰囲気のお話だったので、不安でしたがそう言って貰えて嬉しいです！でもやっぱりラブラブなお話が書きたくなるので、また次の橙さんに期待していて下さい！ (2019年9月6日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
*ameto*(プロフ) - 完結おめでとうございます。こうなるとわかっていても避けられない、2人の運命にうるっと来ました…。神曲を教えてくださって、こんなに素晴らしい作品を読ませていただいて、本当にありがとうございました！ (2019年9月3日 0時) (レス) id: 7b77494f9e (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます！執筆お疲れ様でした！毎度のことながら、素敵なお話をありがとうございます！ヨウさんの書く橙さんが大好きです！心がギュってなって、きゅんってなって。次回作も楽しみに待ってます！また橙さんをお願いします！！！ (2019年9月2日 18時) (レス) id: 318cc8d8b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨウ
| 作成日時：2019年8月27日 11時
