はたらくおにいさん。

青×お巡りさん ページ7

きっかけは、些細なこと。




駅前の、交番に、いつも立ってるお巡りさん。
身長いくつあるんだろってくらいスラーっとしてて、爽やかで、所謂イケメン、だ。
顔も小さい。モデルじゃないかと思ってしまうくらい。




いつもにこにこ笑顔で、小学生やお年寄りにも優しいお巡りさんで、かなり親しまれているようだ。
朝の通学路の見回り中に、小学生と話してるのよく見かけるし、お年寄りからはよく差し入れ貰ってるし、たまーにだけど、おばさん達が交番まで押し寄せてたりする。
地域にすごい根付いてる、素敵なお巡りさんだ。





私はそんなに警察にお世話になる訳では無いし、接点とかはないんだけど、よく見かけるから何となく知っている。
この辺りじゃ有名人なお巡りさんだし。








そんな人と接点を持つようになったのは、つい最近だ。




「お母さぁん…！」

ポロポロと涙を零す目の前の幼い女の子の目を優しくてタオルで拭う。
夜勤明け、眠たい目を擦りながら改札を出ると目に飛び込んできた女の子。
キョロキョロと辺りを見渡して不安そうな表情をしていた。
思わず声を掛けると、それまで張り詰めていた糸が切れたように涙を流し始めたのだ。
そっと話を聞くと、母親と買い物途中、この駅前を抜けようとした時にはぐれてしまったようだ。
仕方なく、駅前の交番に一緒に行くと、そこにはあのお巡りさんがいた。


『あのぉ…』


真剣な表情で書類を書いていたが、声を掛けるとすぐに顔を上げ優しい表情でこちらを見た。

「どうされました？」
『すぐそこの駅前で見つけて、迷子みたいなんですけど…』

そこまで話すと、お巡りさんはちらりと私の手を握る小さな女の子を見た。
女の子から見たらこの身長の高いお巡りさんはとてつもなく大きく見えたことだろう。
不安そうに眉を寄せ、私の手をぎゅうっと握り締める。
そんな女の子の様子に気付いたのか、お巡りさんは女の子の前に跪き、にっこり笑った。


「お母さんとはぐれちゃったの？」
「……そうなの」
「そっか。じゃあお母さん来るまでここで待ってようか」

そう言って女の子の頭を優しく撫で「よく1人で頑張ったね」と優しく声を掛けると、女の子の緊張の糸も切れたのか、またポロポロと涙を流し始めた。
私もその子の隣にしゃがみ込み、また涙を拭いてやる。

「それじゃあお姉さん、すいませんが状況だけでも教えて貰えますか？」

そうあの優しい目で見られ、思わずドキリとしてしまった。

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