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あの笑顔の素敵なこのクラスの担任の先生の顔がチラついて、思わず頭を振る。
ああ、何考えてるんだ私!!
あの日以来特に進展もないわけだから、きっと私の事なんて…
そう思いながら、手紙一つ一つを広げて読んでいくと、ふと一つだけ、子供の字とは違うピンクの手紙。
まさ、か…
広げるとそこには、決して丁寧とは言えない、でもあの人らしい文字で綴られた短い言葉。
そして手紙の最後に書かれたおまけのような花弁5枚のお花と猫のような、クマのような生物。
イラスト、得意じゃないんだ…。
あの人が背中を丸めながら小さく小さく書いたであろうこのイラストに、思わずふふっと笑みが零れた。
明希ちゃんに手紙を託してから早数日…
特に何か変わったことがあった訳でもなく、普段と変わらない平凡な日々を過ごしてる。
冨永先生には手紙を渡した事と、それ以来特に進展がないことを話すと、ポン、と軽く肩を叩かれ無言で慰められた。
……そう言うのが1番胸に刺さるんですけど!!!
華の金曜日、自暴自棄になった俺は今日は残業して帰ることにした。
他の先生達が彼氏とデートだったり飲み会だったりで足早に帰る中、事務所で1人黙々と仕事をする俺…どうせ寂しいですよ…!!
今日遅番だった冨永先生もそろそろ帰るようで、飲んで帰らないかと声を掛けられたが丁重にお断りした。
多分冨永先生も気を使ってくれたんだろうけど、すぐにふっ切れて話せる状態じゃない。
殆どの先生が帰ってしまい、冨永先生を見送ると数分後に、冨永先生が戻ってきた。
なんだ?忘れ物?
そう思っていると冨永先生とばっちり目が合った。
「かんた先生ぇー。明希ちゃんのお姉さん、玄関いるぞ」
「え、」
「残業するらしいからって言って帰ってもらう?」
そう言って意地悪そうにニヤッと笑う冨永先生。
「何言ってんの!すぐ行くから待ってて下さいって伝えて!」
そう言って慌ててロッカールームに入り着替えをする。
冨永先生の独特な笑い声がここまで響いてきて、
「遅せぇと俺が一緒に帰っちゃうからなー」なんて捨て台詞。
そんなの無理!と思って猛スピードで着替えて準備をし、最後の鍵締めの先生にお願いをして慌てて園を出た。
門を出るとそこにはもう冨永先生はいなくて、
すごく久しぶりに見たAさんが門の隅の方にポツン、と立っていた。
慌てて出てきた訳だけど、顔を見たらぶわっと急に体温が上がってくる。
『来ちゃいました』
そう言う彼女の笑顔が、とても眩しい。
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ヨウ(プロフ) - ななみさん» そう言っていただけて良かったですー!また続編の方にも遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月25日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キュンキュンしちゃいました〜!すっごく読みやすい文章で大好きです!ありがとうございます! (2019年6月20日 22時) (レス) id: d77610da69 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なぁさん» いつもありがとうございます!中村先輩、まだキャラがブレブレで申し訳ないです…続編頑張りますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます!寛太先生続編書かせていただきました!期待に添えたものではなかったら申し訳ありません…また遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストにお答え出来るようなお話書けるか分かりませんが…はたらくおにいさん。の橙くんはツンツンキャラが多かったので頑張ってみますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年4月21日 1時