はたらくおにいさん。

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「先生もお絵描きしていい？」
「Aお姉さんにお手紙書くの？」
「えー？まぁ、うん…」

何子供相手に照れてんだ俺。
子供たちは嬉しそうににっこり笑うと、かんた先生には特別にこの可愛い色付きの紙あげるー！と淡いピンク色の紙を手渡してくれた。
手紙、なんて、緊張するなぁ…
普段手紙とかクラスのお便りぐらいしか書かないし、今どきメールとかLINEで済ませるし。
そう思いながらも周りにいる子供たちも「私もAお姉さんにお手紙書こうー！」なんて便乗し始めたので、俺も勢いに任せて一筆書いた。

「先生ー！お手紙見せてー！」
「え！？まぁ、いい、けど…」
「……漢字多くて読めない。先生読んで！」
「読むの！？ここで！？音読！？」
「はやくー」
「いやいやいや」
「先生のお手紙、せっかく可愛いピンクのにしてあげたのに字しか書いてなくてかわいくなーい」
「先生、お花とかハートとか書いたら？」
「いいの！大人のお手紙ってこういうの！」
「だめ！ハートかいて！」
「お花かいて！」
「くまさんかいて！」
「待って！どんどんハードル上がってるから！！」
「はやくー！」

女の子達の猛攻撃に合い、結局小さいお花とかくまさんだけ書いて勘弁してもらった。
(ハートは1番簡単だけど…ねぇ)
自慢じゃないけどあまり絵心ないので、正直不細工だ。
他の女の子達が書いた手紙と一緒にこっそり俺の手紙も忍ばせて、小さい袋に纏めてリボンを結んだ。
あぁ、引かれなきゃいいけど。









残業残業残業。
残業のオンパレードでなかなか休む暇がない。
今日もクタクタになりながら帰路に着く。
マンションの郵便受けを覗くと、何やらリボンが掛かった袋が郵便受けギチギチに入っていた。
なんだろこれ…
不安になりながら袋をくまなく見ると、袋の片隅に「Aお姉さんへ。ひまわり組」の文字。
慌ててお姉ちゃんに連絡すると、お姉ちゃんは笑いながら言った。


「あ、郵便受け見た？」
『見たよ！びっくりした！どうしたのこれ？』
「明希のクラスの子供たちが書いたんだってさー。あの短いお迎え期間で随分子供たちに気に入られたみたいだね」


そう言ってケラケラ笑う姉だったが、あの可愛いひまわり組が自分のために書いてくれたと思うとジーンとくる。
姉にお礼を言って電話を切り、手紙を大事に胸に抱えながら部屋の鍵を開ける。
部屋に入り、袋のリボンを丁寧にとってテーブルの上に手紙を広げる。
嬉しいなぁ…
その時ふとチラついた、あの人の顔。

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