はたらくおにいさん。

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声のした方へ目を向けるとそこには同じくらいにデビューした同期の女の子がいた。


『久しぶりーレッスン来てたんだね』
「うん、最近どう？」
『うーん、まあまあかな。そっちは？』
「私もー。あ！私今度グラビアやるんだ！」


そう言って手渡された雑誌。
そこには水着姿のセクシーな彼女が表紙に堂々と載っていた。



『え！？すごーい！！表紙じゃん！！』
「そうなの！！グラビア初めてだったんだけど、結構楽しかったー！」


そう言って嬉しそうに話す彼女。
そっかぁ…グラビアかぁ…
羨ましい、という気持ちもありつつ、やりたいか、と聞かれたら分からない。



「てか、Aちゃんはやってなかったよね？グラビア」
『うん、経験ないなぁ…だから興味あるけど、どうなんだろう？』
「うーん、でも、やっぱり格好が格好だし、やっぱりファンは一気に付くみたい」
『あー、そっかぁ…』



ちょっとだけグラビアやってみたいな、と思った。
まぁ、りょうが仕事持ってこない限り無理なんだけど。
売り込み、とか話してみようかな？
そんな風に考えながら鞄からドリンクを出して飲んでいた時だった。



「そう言えば、Aちゃんのマネージャーの福尾さん！カッコイイよね！！」
『！？っゲホッ！！』
「え！？ごめんごめん！！大丈夫？」
『ケホッ…うん大丈夫…変なこと言わないでよー！』
「え？だって本当のことじゃん。福尾さんカッコイイって言ってる人たくさんいるよ？」


……考えても見なかった。
りょうはこの仕事始めてからずっと隣に居るし、いわゆるパートナーみたいなもんだったから。


「いいなぁ…ほぼ毎日一緒にいて、ドキドキしない？」
『考えてみたことなかったなぁ…』


そんな風に遠い目をしていると、彼女が隣で苦笑いしていた。


「まぁ、そんなもんだよね。私のマネージャーもそんな感じたわ」


その時丁度レッスンの再開の声が聞こえた。


「さ、後半戦頑張ろっかー！」


そう言って彼女はさっさと行ってしまう。
私は、何だか胸のモヤモヤみたいなのが取れなくて、すぐに立ち上がることが出来なかった。









「お疲れ様」


シャワーを浴びて着替えて出ると、スマホを弄って待っていたりょうが顔を上げてにっこり笑う。


『ごめんお待たせ。時間、大丈夫そう？』
「大丈夫じゃないかな？」


いこっか、と立ち上がったりょうの後ろを着いていく。
なんでだろう。まともにりょうの顔を見ることが出来ない。

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