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「どーだかなぁ…何だかんだ狙ってたりして。いろんな意味で」
そう言ってマホトさんはちらりと富永さんを見ると富永さんの顔は見る見るうちに赤くなっていく。
「んなっ!?」
「じょーだんだよ!冗談!」
そう言ってケラケラ笑うマホトさん。
何だか見てて可愛い先輩後輩だ。
暫く会話しながらカットしてもらい、どんどんと髪の毛がハラハラと落ちていく。
「よし、こんなもんかな。トミー!パーマ宜しくー!」
そう声を掛けるとマホトさんは次のお客さんの元へ行ってしまった。
「はーい。…お、いい感じじゃん」
そっと富永さんが私の髪に触れる。
その指が頬を少しだけ掠めてドキッとしてしまった。
「じゃ、パーマするか」
そう言って、軽く私の髪を触り髪質を調べると、櫛を手に持ち少しずつ毛束を取ってペーパーを下にしパーマ液を掛けてカーラーでクルクルと巻いていく。
先程のシャンプーの時も思ったけど、本当に見た目によらず手つき優しいな…なんてじっと見ていると、鏡の中の富永さんがムッとした表情でこちらを見た。
「なんか、じっと見られてるとやりにくいんすけど…」
『あ、ごめん…富永さん、すごく手先綺麗だったから…』
そう話すと今度はふいっと顔を背けれてしまった。
「……富永、でいいから」
『え、』
「さん付けとか、堅苦しくね?呼び捨てで良いよ。タメだし」
『えぇ…んと、じゃあ………とみくん』
そう言うと彼の手がピタッと止まった。
そして、みるみると顔が赤くなる。
あれ、まず…かった…?
「……っす」
小さい声で返事してくれて、あ、良いのかな?って勝手に解釈した。
そのあとは、あまり会話が無かったけど、特にそれが嫌な雰囲気とかではなくて、真剣な表情で私の髪を見つめる彼がすごくかっこよく見えた。
「A、あんまり髪染めないの?」
突然名前で呼ばれてびっくりした。
『えっ!?あ、うん。髪染めたことないかな…。染めた方がいいかな?』
「いや……元々色素薄めだし、綺麗だからこのままでいいと思う」
そう言って優しい手つきで私の髪に触れてふんわり笑うとみくん。
こんな風に、笑うんだ…
その笑顔が向けられてるのが、自分の髪って…と訳の分からない嫉妬をする私。
あぁ、調子狂っちゃうなぁ…なんて思ってたら鏡越しに目が合って、ふっと優しく笑われる。
どきどきが、止まらない。
「あーあ。俺の常連取られるなぁー…」
隣でカットしながらニヤニヤと笑うマホトさんの声に思わずお互い赤面してしまった。
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ヨウ(プロフ) - ななみさん» そう言っていただけて良かったですー!また続編の方にも遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月25日 0時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - キュンキュンしちゃいました〜!すっごく読みやすい文章で大好きです!ありがとうございます! (2019年6月20日 22時) (レス) id: d77610da69 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - なぁさん» いつもありがとうございます!中村先輩、まだキャラがブレブレで申し訳ないです…続編頑張りますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - ななみさん» ありがとうございます!寛太先生続編書かせていただきました!期待に添えたものではなかったら申し訳ありません…また遊びに来ていただけると嬉しいです! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» リクエストにお答え出来るようなお話書けるか分かりませんが…はたらくおにいさん。の橙くんはツンツンキャラが多かったので頑張ってみますね! (2019年6月20日 21時) (レス) id: 523a836345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨウ | 作成日時:2019年4月21日 1時