伍、エリート少年 ページ14
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リョーちゃんのもとへ戻ると、教室は随分と騒がしくなっていた。
生徒たちで賑わい出した廊下。
ふとリョーちゃんに目を移すと、眼鏡を掛けた横顔が儚げに窓を覗いていた。
侑「…リョースケ。ずっとあんな感じだよ。誰とも話してないの。」
「…そっか…。」
なんとなく気付いてはいたんだ。
幽霊が見えたりすることによって、気味が悪く思われて避けられたりする人が多いとよく聞く。
第一、俺はこの学校の生徒だったんだ。
幽霊が見える子がいるらしい。
詳しくは知らないがそんな噂を聞いたこともあった。
不意に鳴りだしたチャイムの音に生徒が着席する。
俺たちは誰もいない廊下を歩いていた。
侑「…ねぇ。イノちゃん、ここの生徒だったんでしょ?…何か知らないの?リョースケのこと。」
慧「…その当時は詳しく知りたいとは、これといって思わなかったんだけど…。
一つ下の学年に、幽霊が見える子がいるらしいって噂があった。
…もしかしたらリョーちゃんのことだったのかも知れない。」
まだHRの時間なのだろう。
階段は静かで、ただ風の音が聞こえるだけだった。
侑「…他に何か知らないの…?」
慧「…他には何も…。だけど、保健室に通ってたのは知ってるかも。」
侑「どういうこと?」
慧「…ちょっと諸事情でお世話になった先生がいてさ。その先生と俺、仲良くて。そのときに話した内容で聞いたことあるかも。」
生きていた頃、俺は将来の夢について悩んでいた。
そんなときに相談したのが、薮。
話していくうちに心の重りが取れた。
正直、諦めかけていた夢だったが医者を目指すことにしたんだ。
…その経緯はまた今度。
すると、何を思ったのか、この学校でもう一人悩んでいる子がいると薮は俺に教えてくれた。
何故、俺にそんなことを言ったのか今でも分からない。
だけど、話を聞いたとき咄嗟にその子を救いたいと思った。
その子がきっと、リョーちゃんだったんだね。
だけど、
一年前俺は学校の帰り道不慮の事故に遭って、
そのままリョーちゃんが今いる世界から去った。
「…リョーちゃんのこと救えたらよかったのに。」
何度も同じような後悔を繰り返してしまっている今。
薮はこのことを知ったらどう思うのだろう。
侑「それなら、いい考えがあるよ。
…今日一人だけリョースケと話してた人がいる。」
と、何故か得意げに笑って言った。
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さき(プロフ) - ciaociaoさん» コメントありがとうございます……!削除する予定なのは謝罪のページのみなので、大変お待たせしてしまいましたが今後も更新させていただきます(>_<)紛らわしい書き方をしてしまい申し訳ないです。お気持ちとても嬉しいです!今後もよろしくお願いします! (8月4日 11時) (レス) @page29 id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
ciaociao(プロフ) - Twitterにおしらせいただいたので、久しぶりに読ませていただきました。もう続きを投稿いただけないとのことで残念です、、お気持ち変わりませんでしょうか、、 (8月4日 7時) (レス) @page29 id: 33ff52010d (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - めいめいさん» わぁぁ!ありがとうございます!返信遅くなってしまい申し訳ございません……また近々更新します! (2022年6月5日 0時) (レス) id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
めいめい(プロフ) - いつも読ませてもらってます。更新楽しみにしてます!!! (2022年5月19日 21時) (レス) @page27 id: 3da430cefd (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 桃大福さん» 返信遅くなってしまいすみません…。そういっていただけるとモチベーション凄くあがります!!ありがとうございます! (2021年3月11日 13時) (レス) id: 7b1fe2d542 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さき | 作成日時:2020年8月8日 1時