幽霊さんと暮らした一夏に。

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日が沈み、月が輝いている頃。



まだ暑いけれど、夜の涼しい風にあたる。





「リョーちゃんがね、頭痛がする原因は恐らく幽霊の仕業なんだよね。」


涼「というと…？」


侑「僕たちもそうだけど、人様に触れたり近づいたりすると何らかの影響があって。」





たとえそれが望むものでも、望むものでなくても。





「だから、思うように近づいたり出来ないときもあるんだよね。」


涼「じゃあダイちゃんは…」


「恐らく頭痛とか体調に影響を及ぼす部類だと思うよ。…俺と一緒で。」


涼「えっ？でもイノオさんって…」


「俺は触れるタイプだったけどね。…まぁいろいろ決まりがあるのよ。面倒くさいことにね。」




ゆっくりと流れる夜のひととき。




侑「保健室で僕が涼介の目元触ったの…覚えてる？」


涼「えっと…はい。」


侑「すぐ眠くなったでしょ？」


涼「はい。」


侑「つまり僕の能力はそういうこと。」



幽霊が本来、自分から能力の説明をすることはない。



見える人が少ないという問題もあるのだけれど、



幽霊が人の名を悪用する恐れがあるように、



人間が幽霊の能力を悪用することだってある。



怖がる人もいるだろう。




「…リョーちゃんを運んだ後、リョーちゃん熱出ちゃったでしょ？」


涼「えっ…？」


「ごめんね。それ、実は俺の仕業だわ。…俺は人に触るとその人の体温をあげちゃうんだ。」



お祓い。もしかしたらと思った。


だけど、心配する必要はないようだった。




涼「…ふふっ。話してくれてありがとうございました。普段はそんなこと滅多に話さないですよね？」



侑「…怖くないの…？」



涼「怖くないですよ。」



口角を上げ儚げに笑う少年。




涼「…だって2人とも、俺のためを思って助けてくれたじゃないですか。嬉しかったです。」



「…ちなみダイちゃんのことなんだけどね。」


この感じ。まだそう遠くには行っていない。



「直接、いつか俺たちが会わせるから。…この夏の間に…！！だから、もう少し待っててくれない…？」



涼「…はいっ…！楽しみにしてます。」



明日も学校だというリョーちゃんは夕飯を食べ眠りについた。





夜中、蚊取り線香の火を眺めながら語る。





侑「…イノちゃんまで言うと思わなかった。」


「…そう？意外だった？」



侑「うん…言わないで後悔するより良いってこと？」



「…そうかもねぇ…。」



また、昔を思い出しそうになってしまう。

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