犬系女子と飼い主系男子【梵天】

ごめんなさい ページ43

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蘭「おい。誰が動いていいっつったー？」


『や、やめて、蘭ちゃん』


蘭「なんで？俺が怒ってんのわかんねー？」






じわり、涙がにじむ。



今にも折れそうな足の痛みや、
ここから逃げられない絶望感のせいじゃない。




蘭ちゃんをここまで怒らせた。


もう嫌われたかもしれない。


それだけが、どうしようもなく怖かった。




ポロポロ、こぼれた涙を
蘭ちゃんはしばらく見つめた後、
いきなりシャワーを顔にぶっかけてきた。






『ぶふっ！』


蘭「よし、綺麗になったな」






なんて独り言を呟きながら、
水が鼻に入って咳き込む私を連れてお風呂場を出る。




ひ、ひどい。泣いてる顔にシャワー浴びせるなんて。いじめっ子にも程がある。




蘭ちゃんはタオルで私の頭をごしごし拭きながら、
Aと、優しく名前を呼んだ。






蘭「ごめんなさいは？」


『…………』


蘭「ごめんなさいって言いなさい」


『………ごめん、なさい』






タオルごと頭を引き寄せられ、
ぎゅううと強く抱きしめられた。



ひどいことした後に優しくするのなんて、
DV男の典型だ。




わかってるのに、何だかすごく安心して、
縋るように抱きついてしまった。




ああ、我ながらほんとに馬鹿な犬だなあ。







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