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使命感 ページ21

.


何度も角度を変えて、執拗いくらい自分よがりなキスをして



なのに、Aは




「―――如何して、抵抗しないの?」



私の服を掴んで、必死に立っているだけ


抵抗も拒否もしない、只されるが侭


厭だ厭だと首を振るかと思えば、何も云わずに時折声を漏らすのみ



「答えて、如何して抵抗しないの」


問える立場でないのは判っているが、予想とは違う彼女の反応の理由が知りたくて、答えを急かす


肩で息をしていたAが、漸く一つ、ゆっくりと深呼吸をした



『私が、理由も云わずに断り続けてたからですよね』

「ん?」

『太宰さんの告白に、私がもっとちゃんと親身に答えてたら、あんな事しなかったですよね』



一寸、雲行きが怪しくなる


私があの日Aにキスをしたのは、そんな綺麗な理由じゃなくて


一言で云えば、単なる欲


なのだが



『それで考えたんです』


と、文字通り親身に考えてくれたらしいAに、今更そんな事を打ち明けられない


ごほんと、咳払いを一つ



「何を考えたの?」

『今迄は、何度も好きだと云ってくる太宰さんを突っぱねる事に使命感を感じていましたが』

「一寸待って」

『なんです?』



一寸、今のは流石に聞き捨てならない


「真逆其の、なんだかよく判らない使命感とやらで私の事を毎回振っていたの?」

『そうです』



けろりと云ってのけるA


―――何其れ…



脱力して、その場にしゃがみ込む


同じように、私の前にしゃがみ込んだ彼女が、「ごめんなさい」と



「……厭」

『え』

「許してほしいなら、太宰さん好きですって云って」



いつもなら、軽く流される恒例の巫山戯た頼み事



でも、彼女は考えてくれたらしい




『――太宰さん、好きになる努力を、させて下さい』



―――嗚呼、もう、本当に……




「君には敵わないね」


.

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ななし - 待ってください本当最高すぎます!!続編楽しみにしています!今から待ち遠しいですー!!もし可能であれば中也オチと太宰オチのどちらも見てみたいです!! (2018年7月22日 6時) (レス) id: 5557df580c (このIDを非表示/違反報告)
ふらん - 続編が…楽しみぃぃぃ!やばいですね!最高です…! (2018年7月21日 17時) (レス) id: dbdc3a2a0b (このIDを非表示/違反報告)
桜来(プロフ) - わああそう来るんですか最高です.....!!続編が楽しみすぎます!!一巻お疲れさまでした!続編の方も応援してます!! (2018年7月21日 11時) (レス) id: 796169ce21 (このIDを非表示/違反報告)
インコ(プロフ) - 最高かよ…お餅さん最高かよ…続編待ちきれない…。ひとまず一巻おつかれさまでした! (2018年7月21日 10時) (レス) id: 059b544bd8 (このIDを非表示/違反報告)
あさぎ(プロフ) - 中也さん…?えっ…最高すぎませんか?続編1ヒット目指して神速で見ます(笑) スマホが手放せない…:( ;´‐`;): (2018年7月21日 10時) (レス) id: 6de4597e1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お餅 | 作成日時:2018年7月13日 7時

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