♡次の舞台へ ページ49
エースside
「なぁんで僕と毒林檎が同じなの?嫌がらせ?」
「それはこっちのセリフです〜、とっとと破れろちびトランプ」
「表出ろクソ林檎」
『はいはい喧嘩しないで!お嬢さん達が怯えちゃうよ!』
折角の舞台なんだから楽しくやろうよ!今日は僕がリクルーティングに出る素晴らしい日なんだから!
朝から素晴らしい処刑をしてきたんだ、首がすっぱりと切れた素晴らしい日!嗚呼、今日の僕はとても調子が良いぞ!
インクの匂いも僕の一部、意気揚々と館のドアを開ければ暗い道の向こうに外の世界への光が導くように差し込んでいた。
『喧嘩も程々に、僕は二人の一番輝く姿が見たいな』
「じゃあエースもしっかりやらないとね。なにせ一番のトランプ兵なんだから」
「そうだぞ。私達にだけ出番を与えて自分はサボるなどしたらこの林檎をワンバイトさせてやる」
「させるか害悪ジジイ」
「聞こえませーんもっと寄って言ってくださいな〜?」
「てっめぇ…!」
『お口が悪いよジャック、アップルも煽らないで!ほら行くよ』
踏み出して歩いていけば、光の先へと出る。途端に歓声に包まれ、笑顔に満ち溢れた人間達の顔が僕らを出迎える。
皆ヴィランの魅力に取りつかれ、そしてこれから導かれる可能性のある人材だ。丁重におもてなししないと!…でも、
やっぱり赤くないと駄目だな。
Vとスキャターが進行していく中、僕は周囲をじっと見渡す。赤、赤、赤……嗚呼、赤が無い。何色も潰す真っ赤な赤が此処には無い。
「エース」
そっと背を押される。振り返るとジャックが笑って僕を見ていた。
「いつもみたいに赤がないーって脅してやれ」
勿論だとも。にやりと笑うその笑顔に笑い返せば、さぁ、僕の舞台だ。
「さぁ一番を飾るのはハートのクイーンがマスターヴィランズ、エース・ハート!一番優秀である彼にかかれば全てが思い通り!ああですが、赤色でなければ恐ろしい目に遭うでしょう…」
マイクの前に立つ。手を乗せて少し口角を上げると、僕は高らかに宣言した。
『僕の世界は規律ある素晴らしい国!薔薇を染めたりお茶会をしたり、夢のような一時をあなた方に与えましょう!ですが、赤色でないならご用心!』
聞き入る人間に聞かせてやるんだ。甘い夢は一時の幻だと。
『女王のお望み通り、僕の手で皆様の首を刎ねることになるかもしれません』
笑え。怪しく美しく。
悪役のような甘美な誘いを、貴方に。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時