🍎そんなことはない! ページ46
アップルside
駄目だ、思考がずっと昨日の事を思い出し続けている。リクルーティング中だと言うのになんてザマだ。これでは仕事に支障が出るではないか。
「今日はうまーく立ち回れてないなぁ?アップル」
「……そんな事は無い。君こそいつもより無口なんじゃないか、ファージャ」
「なっ!そんなことあらへんし!」
今日のメンバーは私とファージャ、ハーデスの3人だ。ハーデスの口上中に話しかけてきたファージャはぶすっと頬を膨らませたが、すぐに何故かニヤリとした笑顔を浮かべて私に寄ってきた。
「でもなぁ?なーんか匂うんよ、林檎みたいにあっまーい匂いが」
「林檎が甘い果実なのも忘れたのか」
「そういう意味やないって!もうっ、冗談の通じん奴やな!」
何だ、手短に話せ。
「その物憂げな顔、うちの所にいた姫さんと一緒なんよ。好きな人のこと思い出してぼーっとしてるような」
「なっ…………」
「お、当たり?マジで!?好きな人出来たん!?」
キャー!と叫ぶな!煩い!私が恋焦がれる乙女と同じだと……!?そんなはずは無い!
「適当なことを言うな……!」
「でもそうやって!アップルまーったく周り見えてへんもん!ぼーっとした顔ずっと晒して見てられへんわ!」
「っ、大体、私が誰に惚れていようと勝手だろうっ」
「惚れてることは認めるんやな?」
「!」
「ほぉ〜?」
き、貴様………っ!
「そうやなぁ〜、この中だとアンタが気になりそうなのは〜………ウチ?」
「断じて無い」
「ひっど!?傷ついたわぁ〜!」
「何してるのあなた達、集中しなさいな」
「あ、青いの!なぁなぁちょっと聞いて欲しいことが「仕事中だぞ、気を引き締めろ」アンタに言われたないわぁ〜!」
ハーデスのおかげで何とか話を逸らすことが出来た……。おしゃべりなオウムの相手は疲れる…
観客席を回るように歩きながらポーズダンスを披露する。人間達も私達のポーズを真似て披露する中、ふと視界の中に赤いハートが見えた。
…仮装か。しかもエースの仮装とは……既にファンが出来るなんて恐ろしいやつだ。
「おい」
気づけば私はその人間に声をかけていた。
「次からは林檎の仮装をしてくることだな」
そう言って帽子のハートマークを銃で撃つ真似をして立ち去った。…何故か背後から悲鳴が聞こえるのだが……?
戻ってきた私は、この後ファージャに呆れ顔で頭を叩かれることになった。何故だ。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時