🐙俺はなーんにも知らねぇからな! ページ44
エイトフットside
翌日……
「だぁー!やっと元に戻った!」
あのちんちくりんな姿とはおさらばだ!
元の視界、元の高さになったのを確認してうんと伸びをする。やっと仕事が出来るっ、溜めちまった分消化しねぇとそれこそ打ち首ものだ!……っとその前に、まずは飯食うか。
部屋を出て食堂に向かう。この時間だとエースとジャックは仕事だろ。となると他の連中が食堂使ってるかもな。
「………おい、何してんだ」
食堂に入っての第一声はこれだ。食堂にはアップルポイズンとダルメシアが居たんだが……
「あ、エイトフット〜!朝から林檎がおかしいんだよ〜!」
「………………」
いやほんとどうした。上の空じゃねぇか。
「何したんだよお前……」
「僕は何もしてないって!ここに来た時からずっと上の空なんだ!呼びかけても応えないし!」
「おい……それ本当に大丈夫か?頭コンポートにされたか?」
「ぎゃぁあっ!!なんてこと言うんだエイトフット!」
いやマジでこいつがこうなるの初めてだろ。いつも冷静でたまにネジが外れる時はあるが、ぼんやりなんて無縁のようなやつじゃねぇか。
こうなるともう飯どころじゃねぇ。面白半分で俺は声をかけることにした。
「おい林檎ぉ、大丈夫か〜?」
「……………」
「林檎ー!僕の声聞こえてるー!?」
「……………」
………駄目だぁ、死んでる。
「こ、これどうしよ……っ!」
「よぉしすりおろすかぁ」
「食べちゃうのー!?」
「……喧しいぞ2人共」
あ、生きてた。
「よぉ林檎、何ぼーっとしてんだよ」
「煩い、関係ない事だ」
すました顔しちゃってまぁ、誤魔化しきれてねぇんだよなぁ?
「そんなに子供の姿が気に入ったのかぁ?あ、あれだろ、ちょいとエースに優しくされてぽーっとしてた……」
俺の言葉が続く前に、目の前の光景に思わず声が途切れた。
「っ……………」
照れた。あの毒林檎が。耳まで顔を赤く染めて、熟れ時の林檎のように。
「……もしかして、アップル……」
「何でもないっ!!リクルーティングに行ってくる!」
「あ、ちょっと!」
早足で食堂を出ていくあいつを見て、俺はうわぁ…と心の中で呆れ果てた。
マジかよ。当てつけでからかってたやつにもしかして絆されたのか?いや、惚れたのか?
「……トランプの次は毒林檎かよ……」
変なのに好かれるのかあのトランプ兵は!あー薮つついたら食えねぇ林檎出てきただけじゃねぇかよ〜!
俺はなーんにも見てねぇし、聞いてねぇからなぁ〜!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時