🍎それは毒よりも危険なものだ ページ42
アップルside
『…あちゃ〜…皆寝ちゃったか…』
そんな声が聞こえて、うっすらと目を開ける。どうやらエースの歌の最中に寝てしまったらしい。存外子供の体だと疲れやすいものだな…
「えーす…」
『!おはようアップル、まだ眠いか?』
「ねむくない…」
『そっか。じゃあお兄ちゃんと手繋いで帰れそうか?』
差し出された手はいつもより大きく、そして頼もしく見えた。私はその手を取り、子供らしく「ん…」と頷いて見せる。
チラリと見てみれば、エースはダルメシアを片手で抱っこしながらいつのまに持ってきたのかおんぶひもを使ってジャックとジョーをおんぶしていた。既に起きていたマルフィは眠そうに「たのしかったねぇ…」なんて言いながら欠伸を漏らしている。
『皆小さいと可愛いなぁ。いつもはかっこいいのにね』
そう言ってクスクス笑うエースをぼんやりと見ていると、何だかその横顔が女王様のように見えて変に安心してしまった。馬鹿な話だ、彼は我が女王には顔も何もかも劣るというのに。
「(精神も子供に引っ張られているのだろうか?)」
子供とはこのようなものなのだろうか?親に手を引かれて歩くというのは、こういう気持ちになるのか?
…親の、大人の加護というのはこんなにも甘美なものなのか?
『今日はたくさん遊んだな。流石にアトラクションには乗せれなかったけど…良い息抜きにはなったかな…』
…お前はいつも考えてばかりだな。普段の私ならそう言って頭を小突くというのに。
「えーすは、たのしかった…?」
楽しかったのだろうか?迷惑をかけてはいないか?そんな事ばかり考えて不安になる。
『ん?楽しいに決まってるじゃないか!僕は皆と遊ぶのが大好きだよ?』
『それに僕は楽しいことが好きだからね!』と堂々と告げるその笑顔を見て、ドクリと小さい心音が聞こえた。顔が熱い、突然顔を直視できなくなって、思わず顔を逸してしまった。
な、何だあの屈託のない笑みは…!わ、私はわざと子供のフリをしているというのに…!
『小さいアップルは反応が可愛いな〜』
そう呑気に言っているから、私はちょっとだけ繋ぐ手の力を強めた。うるさい、ちょっと黙ってくれ…!
『帰ったら美味しいアップルパイ食べような〜』
「……うん…」
嗚呼、火遊びでは済まなくなりそうだ。毒より心臓に悪い。ジャックへの当てつけとして相手をしていただけなのに…!
これではまるで、私が毒されたようじゃないか!
👿君も中々の悪い男だね→←🐶こんなに楽しいこと初めてだぞぅ!
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時