🐶僕だって分かるよ ページ25
ダルメシアside
廊下を歩いていたら、遠くの方で泣き声が聞こえたんだ。その声は凄い寂しそうだったから、思わず足が動いていた。
「ジャック…」
声はジャックの部屋から漏れ出てたみたいで、僕が着いた時にはジャックが自分のベッドで眠るエースに毛布をかけているところだった。部屋の中は微かにしょっぱい匂いがして、振り返ったジャックには涙の跡が無かったから、エースがこの部屋で泣いたんだってすぐに分かった。
「あ、ごめんダル。…聞こえてた?」
「僕はね。犬は耳が良いから…、……喧嘩したの?」
「いいや、僕が泣かせちゃったんだ。ちょっとらしくないことしちゃってさ」
そう言ってエースの頭を撫でるジャックは、すっごく優しい顔でエースを見てた。僕は隣に座ってじっとジャックを見た。
だって初めて見るんだ、こんな顔。…いや、僕は知ってるよ。こういう顔をする時はね、大事なものを見てるんだ。
「(クルエラ様が僕を撫でる時の顔と一緒だ…)」
優しい手で頭を撫でてくれると安心するんだ。僕だって分かるんだぞ、だって僕はクルエラ様に可愛がってもらってる犬だから。
「ねぇジャック」
「ん?」
「ジャックは、エースが好き?」
「…うん、大好き」
「そっかぁ…」
起こさないように小さな声で、静かに二人で座って眺めていると、不意にエースが微笑んだ。
『……じゃっく………ふふ………』
「……夢見てるね」
「うん…」
「ジャックのこと、呼んでたね」
「……うん」
ジャックはそのまま縮こまって顔を隠しちゃった。でもね、僕親友だから知ってるんだ。ジャックは今、すっごい照れてる!
「顔見せてよ親友〜」
「うるさいやい」
「いいじゃんか〜」
「今は無理なの!」
ケラケラ笑うと耳まで赤くなったジャックがちょっと睨んできた。でもちっとも怖くないんだ。ふふ、やっぱり親友は面白いね!
「起きたらお茶会しようよ。クルエラ様お気に入りのお菓子持ってくからさ」
「……うん」
僕はちょっぴりしんみりとした親友の側に、ずっと居ることにした。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時