👿とても興味深い ページ21
マルフィside
「あちらは随分と意気消沈のようだね」
『いつも彼はあんな感じなのかい?』
「いいや、普段はもっとクールな姿を見せているよ。恐らく君が居るから気が緩んでいるんだろう」
本当に君は興味深くて面白い。『そうか〜』なんて呟きながら人間のお嬢さん達に手を振る彼を見ていると、少しだけ悪戯心が湧いた。
「おっとエース。帽子が少し曲がっているよ?私が直してあげよう」
『え?じゃあお願いしようかな』
「任せ給え。そうだな…この角度とかどうだい?」
近寄ってきた彼の帽子を軽く弄って角度を調整する。まっすぐ被る帽子を少し斜めに傾けて被らせると、私も自分の帽子を同じ角度に少し傾けて被り直した。
「どうだい皆さん。今の彼と私、いつもと違ってさらに美しいでしょう?」
そう言って腕を引いて身を寄せると、エースも私に寄りかかってふふんとかっこよく澄まし顔をしてみせる。ノリが良いのは非常に好きだ。おかげで…
真後ろから物凄い嫉妬の視線が突き刺さってるよ。
「(やっぱり彼はこのトランプ兵が本当に好きなようだ)」
じとー、という効果音がつきそうなほど目の据わったジャックが私を見つめている。私が彼にどうだ羨ましいだろうとわざとエースに顔を寄せれば、周囲から「きゃー!」と甘い悲鳴が響いた。
『?近くない?』
「寄ったほうが私の美貌を君にも分けられるだろう?まぁ一片も分ける気はないが」
『カラスって赤く塗ったらファージャみたいな綺麗な鳥になるんじゃないかな』
「おっと物騒な言葉が」
流石に赤は遠慮しておくよ。自慢の翼をペンキ塗れにされるのは御免だ。
身を引いて降参とばかりに両手を上げると、エースは『冗談だよ』と言って別の観客の元へと歩いて行ってしまう。少し遠くで「マルフィ〜!」と仁王立ちするジャックを止めるエイトフットの姿が見えたが、まぁあれは見ないふりをしよう。
「…気に食わないが、つつくと面白いものが見れる、かな」
ただのトランプ兵と言う割には気に入られすぎている。それに本来、各世界から"一人しか"手下は派遣されないはずだ。彼はどうして許されているのか、本当にただのトランプなのか……とても興味がある。
「(暇潰し程度には楽しめそうだ)」
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時