赤色に染まる白の君 (ページ20)

今日:36 hit、昨日:8 hit、合計:14,058 hit

🐙二人揃うとどうしようもないページ20

エイトフットside

たく、本当に調子が狂う。口上も終わってポーズダンス、それまではいい。良いんだが……

「はいマルフィ～、エイトフット～、エース！ジャック～♪」
『僕の所だけ機嫌が違うよジャック』
「僕の一番のトランプだからね！聞こえるように言っておかないと！」

あんの甘ったるい二人組どうにかしてくれ！さっきからずっとひっついて離れねぇんだよ！
だから嫌なんだよ～！だって知ってるか？あの二人タワーの方で揃うとずっっっっと一緒に居るんだぞ！？ワンダーランドで散々一緒に居れるだろうが！

「随分と顔色が悪いじゃないかエイトフット」
「おいマルフィ……あの二人どうにかしろ…スキャターもVもツッコミもしねぇ……」
「仕方ないさ。彼らは同じトランプ兵、仲がいいに決まっている」
「あれはもう仲がいいの域超えてるだろ…」

もうありゃあ仲間ってより彼女と彼氏の近さだろ…何で俺達ヴィランの手下の中で甘ったるい恋愛が発生してんだ。

「こらそこの二人、ちゃんと仕事しないと怒られてしまうよ」
「してるよー！ね、エース！」
『女王様の命令はしっかりとこなすさ。ジャックが離れないだけ』
「じゃあエース、君は私と一緒に右側を一周していこうか」
「えー！？僕は！？エイトフットと！？」
「なんか文句あるのか？お？」

よしよくやったマルフィ！一旦引き剥がしちまえば暫くは甘ったるい馴れ合いを見ずに済む！
観客席を回るようにマルフィとエースが反対側を歩き始めるのを見て、俺もジャックの背中を叩いて歩き出した。

「も～折角二人きりだったのに…」
「お前らいつも一緒に居るだろうが。ワンダーランドで会えないのかよ」

人間どもに手を振って歩きながら問いかけると、ジャックは少しだけ拗ねたような顔をした。

「だって彼は一番信頼されてるトランプ兵だよ？仕事ばっかりでちっとも会えないんだ。僕だってまぁ忙しいけど…薔薇を塗る仕事を終えても彼はずーっと裁判に出払ったままお城から出やしない。だーかーら！リクルートの日が一番会えるし話せるんだよ！」
「ほーそっかーそりゃ大変だなー」
「ちゃんと聞いてないでしょ！？」

知るかー、お前らの事情なんざちっとも興味ねー。
「元気だしてジャックー！」なんて励ます人間に「ありがとー！」と返すソイツを見て、俺は小さくため息を付いた。
こりゃまだまだ引っ付き虫は治りそうにないな…