❤赤色が好きな君 ページ19
ジャックside
「僕の世界はエンターテイメント!その感動を貴方に!」
嗚呼なんて心躍る舞台だろう!周囲の目が全て僕に向けられているようだ!やっぱりこの舞台はいつも僕の心を踊らせてくれる!
決まった口上、決まったポーズ、それだけで人間達は魅了されて夢中になる。簡単でなんて可愛らしいんだろう!沢山のハートが僕に向けられているなんて夢のようだ!
毎度のように僕のポーズを披露して、クルリとその場で一回転してから舞台袖にはけていく。僕の次は初めてお披露目される僕の可愛いトランプ兵の番だ。嗚呼、彼はなんて言葉をかけるのだろう!考えるだけでワクワクするよ!
「落ち着けよジャック、顔やばいぞ」
「え!?僕そんなに怖い顔してた?」
「うぅん…強いて言えば輝きすぎて主張が激しいかな」
「あちゃ〜!」
ちょっとワクワクしすぎちゃったか〜!でも仕方ないさ、彼を見るだけで僕はワクワクしちゃうからね!
「さぁ次のリクルーターは同じくハートのクイーンがマスターヴィランズ、トランプ兵のエース・ハート!ジャック・ハート同様不思議の世界からあなた方を誘いに来たヴィランで御座います」
Vの声に彼が歩き出す。まるで僕のように軽い足取りで踊るようにステップを踏み、マイクの前で一礼してから、彼はマイクを手にしてじろりと人間達を睨みつけた。
『君達は、首を刎ねられるのが好きなのかい?何処を見ても赤色が見えないじゃないか』
真っ赤な瞳が皆に降り注ぐ。彼は少しだけマイクから離れて、両手を広げて高らかに歌うように続けた。
『僕の世界は規律ある素晴らしい国!赤に染まる国に赤色ではない君達が入ってしまえば、たちまち首を刎ねられるだろう。ああ、それとも……僕に刎ねられたいから赤くないのかな?』
挑発する声、甘い囁き。僕でもドキッとする声に皆息を呑む。と、彼はクスリと笑っておどけたように微笑んだ。
『なんてね。さぁ、君達の首が刎ねられないように僕のポーズを教えてあげよう。手でハートを作って右目の前に持ってくるんだ。女王様の姿をその中に収めるようにね。そうそう、いい感じ。じゃあ行くよ、せーの!』
彼がポーズを披露する。キラリと光る効果音と共に出来上がったハートのポーズに、彼は『決まった!』と僕を真似て声を出す。そしてまた一礼するとステップを踏んで僕のもとに戻ってきた。
『やぁ、どうだった?僕の口上は』
素敵だっただろう?そう告げる視線に僕はゾクリとした高揚感を感じた。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月11日 21時