赤色に染まる白の君 (ページ12)

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❤ずっと一緒に居たいなぁページ12

ジャックside

「ねぇアリス、此処にずっと居ようよ」

彼を抱きしめて呟くと、彼はじっと僕を見つめてきた。

「此処は楽しいよ？嫌な事なんて何もない。女王様からのご指示は大変で厳しいものばかりだけど、それでも仕事を終えた後の時間は楽しいものばかりだ。僕は君が居れば、君さえ居れば何もかも上手く行きそうなほど楽しいんだ。逆に君が居ないと、とてもつまらない…」
『…でも俺には自分の世界がある。それにもう大人だ、此処には居られない』

困ったような声だ。嗚呼、彼を困らせてしまったのかな、僕は。

「そうだよね。…君はもう大人だ」

滴る赤いペンキを彼の肩越しに見つめて、そっと離れて立ち上がる。目で僕を追ってくる彼の視線を背にしつつ、僕は赤いペンキをたっぷり含んだ筆を手にした。

「じゃあ、君も塗り潰してしまおうか」
『え…？』

振り返る。若干の恐怖を浮かべるその顔に筆を突きつけて、僕はにっこりと笑ってみせた。

「君を赤く染めて女王の前に突き出せば、きっと気に入って飾ってくださるよ！そうしたら僕が毎日君を塗り直しに行こう。丁寧に丁寧に、髪の先から足の爪先までね」
『な、何言ってるんだよジャック…っ』
「あ、でもそんな事したら君は僕のものじゃなくて女王陛下のものになってしまうのか。そうかぁ……」

じゃあどうしようかな。女王様のものになったらそう容易く話すこともできなくなる。でもこのままじゃ彼は元の世界に帰ってしまう。う～ん………
頭を捻って捻って、首が体を一周した時、僕の頭にピピーンッと電撃が走った。

「そうだ！」

僕の声にピクッと身を震わせる彼に、僕は肩を掴んで嬉々として語った。

「僕に良い案があるんだ！君も誰も悲しまない良い方法が！」
『そ、それって何だよ…』
「秘密！でも僕に任せてくれるかい？君は此処で遊んでるだけでいいから」

前から考えていたことだ。いつかはやらなきゃいけないこと。でもそれが僕と君を繋ぐ良いアイディアになるなんて！嗚呼夢のようだ！

『……幽閉したりしないよな？』
「まさか！君を閉じ込めたりなんてできっこないよアリス。君は創造主なんだから」

おどけてみせると彼は安心したように肩を下ろした。僕は微笑んで、優しく頭を撫でてあげる。同じ焦げ茶の髪はふわふわで、まるで雲のようだった。

「全部僕に任せて、大丈夫、心配はいらないよ」