ハートのトランプは幸せな夢を見る (ページ34)

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🖤突然のことでページ34

エースside

翌日……

ジリリリッと目覚まし時計の音が鳴る。……と思いきや、僕は自然と目を覚まして起きた。

『……あれ？』

目を開けるとそこは見たことのない部屋の中だった。壁も床も天井も真っ白で窓が無いその部屋の床に、僕はいつの間にか寝転がっていた。
確か…昨日はダル達と薔薇を塗って、ハイタワーに帰ってから自分の部屋で寝たはずなんだけど…。というか今朝？昼？窓が無いから分からないな。

『此処何処…？』

体に異変は無い。部屋の中には大きなベッドと簡易的な椅子と机、そしてたった1つのドアがある。ドアに近づいてドアノブを捻ってみたけど、ドアには鍵がかかっていて開かなかった。

『(魔法の感じはしない…。悪いものでは無さそうだけど…)』

何があるか分からないから早めに出るか。手を翳して空間を開こうとすると、少しだけ開いた空間の裂け目は何かに阻害されるように軋んで、そのままバチンッと閉じてしまった。
…………え、もしかして、魔法使えない……？

『嘘だろ……！？』

ま、まさか斧も出せない！？咄嗟に斧を取り出そうといつものように手のひらに魔力を集めてみるけど、出てくるはずの斧は全く出てこない。まずい、非常にまずいぞ……っ

『(部屋の中を探すしかないか……っ)』

どこかに鍵があるはずだ。諦めてベッド下を探そうした時、天井からヴォンッと空間が開く音がして、

「うわ！？」
「っ！？」

ドサッとジャックとアップルが落ちてきた。

「いてて………、っあれ！？エース！？」
『ふ、2人ともどこから此処に……』
「分からない……っ、自室に居たのだが、突然睡魔に襲われて……」

……成程…そういう転送の仕方か…

「此処何処…？」
『分からない…僕もついさっき起きたばっかりで何が何だか…』
「少なくとも、危険な魔法が施されている様子は無いな」

尻もちをついたジャックの手を引っ張って起こす。アップルの方は早速とばかりにドアの前へと移動して、ドアノブを弄っていた。

「…開かないか。魔法も使えない」
「嘘だろ〜…？僕達の魔法でも出れないじゃないか」
『多分この部屋のどこかに鍵があるはずなんだ。さっさと見つけてこんな所出………、2人とも首のそれ何？』
「「え？/は？」」

なんか2人共、黒い首輪着いてるけど……

「え、何これ！？」
「っ………、外れないぞ…っ」

二人共身に覚えがないってことは…この部屋に入ってから着いたものなのか？どうなってるんだこの部屋……