🍎子供のような大人 ページ29
アップルside
『ほんと、困っちゃうよね!』
そう言って私のベッドに寝転がって拗ねるエースに、「お前が駄々を捏ねるからだ」と冷静に返す。どうやら点検が終わったのだろう、突然エースが私の部屋に来て『聞いてよアップル!』と愚痴を呟きに来ていた。ジャックやマルフィの部屋に行かなかったのは、大方愚痴の原因がその2人だからだろう。
『ジャックは人間の前に僕を座らせるし、マルフィはママだし……僕は子供じゃない!』
「今現在子供っぽいが?」
ブーブーと口を尖らせてコロコロと転がるエースを見ながらそう言うと、やつは『アップルまで!?』と上体を起こしてむっと頬を膨らませた。そういう所だぞ。
「…お前は面白いな。普段は静かで理性的だと言うのに、ふとした時に子供らしくなる」
『だから子供じゃない!』と吠えるエースの元に行き、ベッドの縁に座りつつ額にキスをする。ポカンと止まるエースを見て、小さく笑ってやった。
「おっと、お子様には刺激が強すぎたか」
エースがムッと顔を顰める。私の腕を掴むと、上目遣い気味に顔を近づけてきた。
『子供じゃないって言ってるだろ』
……少しは落ち着いてきたか。そのまま軽くキスをすれば、1度離れた唇にまたキスをされ、深く深く口付ける。軽く舌を触れ合わせて離れれば、エースは私の胸に額をつけて抱きついてきた。
『子供はこんなことしない……』
「分かった分かった。そう拗ねるな」
背中を優しく叩けばまだ少し拗ねた顔でじっと見てくるエースを、優しく頭を撫でてあやす。そうすると途端に頬を緩めて擦り寄るように甘えてきた。
「ジャックともこんな風にしているのか?」
『んー……ジャックはほら、物語の作者の関係で進みが遅いから……』
「成程……」
子供の夢から作られた存在だと、知識もそちらに引っ張られるのだろう。…ということは、今のところ私が段階的には先に進んでいるということか。
「(手を出してもいいが、そうなると煩く喚くだろうな…)」
あのトランプ兵が喚く様を思い浮かべながらエースの頬を撫でる。左頬のハートマークに触れれば、エースはへニャリと笑った。
『でも二人とこうしてる時間も好きだよ、僕』
「…そうか」
本当にお前は……、子供のように愛らしいな。
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時