🐙事の発端 ページ17
エイトフットside
「おー、1週間ぶりだな」
そう声をかけてやると、エースは『いやぁ…ご迷惑をおかけしました〜』と苦笑いをして帽子の上から頭を掻いた。
エースが起きたと聞いて談話室に来たはいいものの、ダルメシアとジャックが泣きまくってて話すら出来ねぇ。あのアップルも安堵から言葉出ずに隠れて泣いてやがるし、これもう俺帰っていいか?仕事あるんだよ。
「で、マルフィは何してんだ」
1番突っ込みたいことは、エースの肩に乗る鴉のことだ。ご丁寧に小さな帽子まで被るその鴉は、エースの肩の上で「カァ」とひと鳴きした後肩の上で休むように座り込んだ。
『その、実はまだ魔力が安定してないらしくて、人の姿に完全に戻れないから美しくないーって……』
「なるほどなぁ〜……」
マルフィらしい理由だな。っていい加減泣きやめお前ら!!
ダルメシアとジャックの頭をぶん殴ると、「だってぇー!」と涙目で俺に抗議してきやがった。
「エースが起きたんだぞ!?やっとエースと遊べる!」
「そうだよエイトフット!やっとエースの仕事から解放されるんだよ!?」
「少なくとも後者のはおかしいだろ」
あー…エースがジャックの頭拳で挟んでぐりぐりしてやがる……
っと、そうだった。肝心な話忘れてたわ。
「感動の再会もそこまでにしとけ〜。…マルフィが暴れた理由が分かったぞ」
俺の一声に全員の空気が変わる。張り詰めた空気の中、俺はポケットから棘の入った小瓶を取り出した。
「これはマルフィの首に刺さってたやつだ。エースが取ったのをうちの御主人様やらマルフィの主人やらが見て下さったんだが……これは"ナイトメアローズ"の棘だと分かった」
『ナイトメアローズ?』
「別名"死を与える薔薇"って呼ばれる危険な生きる魔法植物だ。こいつの棘に刺されたやつは一番嫌な記憶を見せられて錯乱し、魔力を暴走させる。魔力が空になるのは死を意味するからな、散々暴れて魔力切れで死…なんてことをさらっとやっちまうやべぇもんだ」
何でンなもんがマルフィに刺さってたのかは知らねぇがな。
「お前どっかで首に刺された感じとか無かったのかよ」
マルフィに話を振ると、鴉の格好のまま首を傾げやがった。…もしかして言葉理解できてねぇの「あぁ、そう言えば君が4時まで起きてた日の昼、首にチクってしたなぁ」いや話せるのかよ!!
『マルフィ話せるんだ』
「私は特別だからね〜」
あー…気の抜けるふたりだな、ほんとによぉ……
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作者名:九龍 -くーろん- | 作成日時:2022年10月31日 1時