心 × inar

間違えた愛情 ページ9

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オレの不注意でパニックにさせちゃったあの日からまた…

オレ以外には目も合わせず話もせず…な、前の状態に戻ってきている。




有｢いのちゃん…？どこ、…？いのちゃ､…っ｣

伊｢ああっ、ほら、オレここだよ？｣





こんな感じになって、三日が過ぎた。
オレが大ちゃんの目に入る位置にいないと、怖いみたい。

…今日は特に。




有｢あのね…きのうね、｣

伊｢…うん？｣



でも…オレには、大ちゃんの恐怖感なんて頭で想像することしか出来ないんだ。




有｢……おかあさんと、おとうさん、ゆめ出てきたの、｣

伊｢…｣

有｢それでね、…っ言うんだよ、…『お前は可愛いね、ムカつくね、』って…。｣




黒目がちの くりん、とした目には たくさん涙が溜まってる。




有｢そのあとね、…いっぱい、ぶたれて、お、おなかも、けられてっ………それから、ふく…ぬげって、言うの。｣



最近の大ちゃんは、眠るといつも魘されてる。
ここまでだとは思わなかった…っ




有｢ぬがないとっ、また…いたいこと、するんだよっ…ｯｯ｣

伊｢うん、…っ、大ちゃん、もういいよ、｣





大ちゃんの手をしっかり握って、目を見て言葉を止める。

…けど、オレの声は届かなくて､､




有｢そしたらね、あのね、おかあさんと、おとうさんが、…そのあとにね、｣

伊｢大ちゃんっ！！…も、やめて、…っ、｣




恐怖も行くところまで行ってしまったのか、焦点はあってないし、光なんて一つも灯していない、濁った目。





有｢………、いのちゃん、？…ないてるの？…おなか、いたいの？｣

伊｢っ、大ちゃん…、｣

有｢やだっ、いのちゃ…、なかないでっ、……ぎゅ、したら、いたくない、？｣





……そうやって、自分を守ってきたのかな。
虐 待を受けている時は、意識を何か別のことに集中して…。

無意識のうちに、逃避、してたのかな…っ






伊｢大丈夫だよっ…、痛くない、…｣

有｢……いのちゃっ、おれね、いのちゃんなら、いたいこと、しても…ずっと だいすき｣

伊｢大 貴！｣




間違えた愛情、だよ、それ…。
まだ…こんなにも根深く刺さってるんだね…っ


大ちゃんが親からもらった、リボン付きの鎖、断ち切ったはずだった。
…オレ全っ然、何も出来てない。





有｢ごっ、ごめ｣

伊｢…大ちゃん、大好きな大ちゃん、大好きな人には痛いこと、しないんだよ？｣

有｢…？｣

伊｢沢山、笑おう…？｣





今オレがする事は、幸せに笑ってもらうこと。

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