男子系女子の日常。6

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滝沢side





ライブが始まると、隣に座るあいつは「すごい！！」と驚くような感動よりも、「うわぁ…………」と胸がいっぱいになっているようだった。



Party!Party!Party!のステップになったところで、姿勢を前のめりにした。


視線は佐久間をロックオン、はい、バレた。

そしてD.D.で確信したらしい。




A「だいって怪我した？」


滝沢「ゲネでな、ちゃんと処置してるから念の為」


A「だいはアクロバットを封印するとダンスの表現力が最大限に引き出されるから大丈夫」





さっきまで心配そうな顔をしていたのに、なんだか自信に満ち溢れている。



MCに入り、9人のやり取りに手を叩いて笑う彼女。





ライブ終盤の2度目のデビュー曲が流れると、彼女は立ち上がった。


滝沢「腰大丈夫か」


A「最後くらい、しっかりしなきゃね」



腰の調子が良くないから座ってみてもらおうと9人は考えたのに、まったく、笑笑



ラストの挨拶。


ラウール、向井の挨拶をまるで教え子が育ったかのように嬉しそうな顔を見せた。


渡辺の挨拶では喧嘩腰の口調に笑いながら、最後のメンバーへの感謝で静かに頷いた。



そして佐久間。


彼が「ありがとう」と言葉にする度に、瞳に涙を溜めるA。



佐久間『……愛してくれてありがとう。』



Aはそっと下を向いた。彼女から佐久間への思いは、友達、家族、恋人、、なにかは分からないけれど「愛」なのだろう。



佐久間『生きててくれてありがとう。』





佐久間からこの言葉が発せられた途端、彼女はしゃがみ込んだ。



そうだ、こいつは、自ら命を絶とうとしたことが俺の知る限りでも3度ほどあった。

2007年、2015年、そして2019年。



きっとこの時以外にも幾度となくあったのだろう。一時期、佐久間が着けていたリストバンドを普段から彼女が着けていたことがあった。



彼女がたくさんの誹謗中傷から闘ってきたこと、肉体的な被害にも遭ったこと、Snow Manを思う余りに仕事を詰め込み、溜め込み、爆発寸前だったことを、佐久間たちは知っている。


「ジャニーさんの所へ行きたい」と虚ろな目でぼそっと言ったことも知っている。



だからこそAの「おかげ」という言葉を使い、生きていることへの感謝を伝えたのだろう。



Aはしばらくそのままで、俺が差し出すハンカチなんて、目に入っていないようだった。

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