情緒不安定 ページ23
志「…。」
『一未っ!』
志「なんでAまで出てきた。」
口では、こんなことを言うが、何処か安堵しているような志摩さん。
走ったわけでもないのに呼吸は荒れており、明らかに志摩さんは情緒不安定だった。
するとガンっ!と壁を蹴飛ばす。
『一未さん、大丈夫。大丈夫です。』
私は志摩さんの背中をゆっくりとさすりながら、優しく言葉をかけた。
志「くそ…っ!」
『志摩さん。一旦座りましょう。
ここでいいですから。ね?』
志「悪い」
口では戻れといいたそうだったが、離れないでくれというように私の裾を掴んでいた。
そのため、私も一緒にしゃがみ込んだ。
『私は、志摩ちゃんの側にいますから、大丈夫ですよ?
マイちゃんと二人で先輩も喜んでいるはずです。』
座り込んだ志摩さんの背中を引き継ぎゆっくりと撫でると、裾を離した。
志摩さんが何処かに消えてしまいそうで怖かった。
私は、怖さで震える手で志摩さんを抱き締めた。
『大丈夫です。
誰がどういおうと絶対に志摩さんの味方です。』
志「…俺も聞いてやればよかった。
もっと…ちゃんと…」
『過去には戻れない。
どんなに後悔しても、変わらない。
なら、今の相棒をその分救うしかないんじゃないですか。』
慰めるのは、簡単だ。
しかし、自分の過去を思えば、そんなの逆効果だと分かる。
志「確かにそうだな。」
そう言って笑った。
呼吸は漸くいつも通りに戻った。
志「…悪い。もう大丈夫だ。」
『本当ですか?』
志「今だけだ、許してくれ。」
そう言って私のことを抱き締めた。
私は、一人になろうとしていないことに少し安堵した。
そして、背中に手を回し、軽く頭を撫でた。
志「そこまで頼んでない。
・・・ありがとう。」
そう言ったときに伊吹さんがきた。
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イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください!応援しています。 (2020年9月12日 21時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:九十九 | 作成日時:2020年9月5日 0時