電話に出ない太宰さん。 ページ29
谷「し、止血帯!Aさん!持ってないですか!?
いや先ず傷口を洗って……違う!与謝野先生に見せなきゃあ」
まずい、取り乱してる。敦くんも初めての経験に放心状態。最年長である私がどうにかしないと……
まず与謝野先生に連絡?いや、太宰さんに。国木田さんに連絡した方が皆に情報がいく?
その場に立ち竦み、思考だけを動かしていると、カシャっと音を立てて樋口さんが弾倉をいれかえた。
谷「い、医務室まで運ばないと!敦くん、足持って」
樋「そこまでです。」
ジャキっと音を立てて潤くんの頭に銃をあてる。
樋「貴方が戦闘要員でないことは調査済みです。
健気な妹君の後を追っていただきましょうか。」
谷「あ゛?」
潤くんの周りがゆらりと揺らめく。
それには樋口さんも驚いたようで、少し距離をとる。
谷「チンピラ如きが……ナオミを傷つけたね?」
潤くんがナオミちゃんを姫抱きして立ち上がる。
谷「細雪」
路地に雪が降る。まだ暖かいこの時期に。
谷「敦くん、Aさん。奥に避難するんだ。こいつはボクが……… 殺 す 。」
敦くんははっと意識を取り戻す。
潤くんがこんな顔するなんて……
『理久、ナオミちゃんを。』
私の横にいた理久がぱっと潤くんの隣まで移動し、ナオミちゃんを受け取る。その時、理久の肩口を銃弾が抜ける。心臓がドクンと大きな音を立て、苦しさを感じる。ワイシャツの心臓付近をギュッと掴んでしゃがむ。
『…うっ…』
敦「!! Aさん!大丈夫ですか!?」
『大丈夫だよ、少しびっくりしただけ。心配かけたね。』
理久が撃たれたのと同じ所がじんわりと熱くなる。痛みはない。
ナオミちゃんをしっかりと受け取った理久がサッと後ろに戻る。
理「ごめん、攻撃受けた。体大丈夫?」
『大丈夫。』
じわじわと理久の傷が治っていく。異能生命体とは便利なものだ。それと同時に私の肩の熱さも消えていく。
ドドドドという激しい銃声にビクッと肩が少し上がる。
戦闘は潤くんに任せ、スマートフォンを壊されぬよう、物陰に隠れた私は太宰さんに連絡をする。とりあえず太宰さんに。電話帳から太宰さんを探す。
スマートフォンを耳にあて、早く出て、と願う。
ちらりと潤くんの戦闘の様子を伺うと、彼女の首を捕らえた所だった。流石…!
〈お掛けになった電話番号は__〉
でない。じゃあ国木田さんに…
「ゴホゴホ」
咳の音。
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麗(プロフ) - 30ページ 敦を「僕のせいで を は不要かなと思います (2021年4月11日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
一沙 - 夢主、重症と見たり (2020年4月9日 14時) (レス) id: c108e162c7 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - 星来さん» ありがとうございます!更新はできるだけ頑張ろうと思っています、一緒にキュンキュンしましょう〜! (2020年3月25日 16時) (レス) id: 6e196d0d59 (このIDを非表示/違反報告)
星来(プロフ) - 今最高にハマってます…文スト作品の中でここまでキュンキュンしたの初めてですわぁぁぁ更新心から応援してお待ちしてます!! (2020年3月25日 10時) (レス) id: 5ba0477dc2 (このIDを非表示/違反報告)
めぐ(プロフ) - そるてぃーらいちさん» ありがとうございます!妄想にお付き合いいただき感謝です(*’ω’*) (2020年3月23日 19時) (レス) id: 6e196d0d59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めぐ | 作成日時:2020年3月13日 1時