弐ノ弐 猛炎と責務 ページ18
それを悟ったのは錆兎だけではない。その場にいる誰よりも経験が豊富であろう煉獄も同じく。
最速の攻撃が通じないならば、他の型で通用するわけがない。純粋な力だけならば、"炎の呼吸"の方が"水の呼吸"に勝る。
逆に、速さだけでならば"水の呼吸"の方が勝る。けれど、その速さで負かされた以上、彼に勝ち目はないと言ってもいい。
「それが何だ?」
だが、錆兎は退くどころか、前をまっすぐに睨みつけ吐き捨てるように続ける。
「煉獄、いつかお前は言っていたな。強者は弱き者を守る責務があると」
そういえば、そんなことを言ったような気がする煉獄だが、それが今どう関係するというのか。
彼は守らなければならない。若き芽を、罪のない人々を、平然と人を喰らう悪鬼どもから、その命をかけて守らねばならない。
「それはお前だけが背負うべき責務ではない」
いつか、この終わりのない夜を照らすであろう若き剣士たち。それを守らねばならない。だが、それを守るのは彼だけの責務ではない。
同じ責務を背負った者が、彼の仲間がいる。守る守られるのではない、助け助け合う者達がいる。
「カァ!コノオマヌケ!ハシレ!」
「痛い痛い!そんなに突っつかないで」
鎹鴉に突かれながら、雪の結晶の施された狐のお面を付けたAが、日輪刀を手に駆けつける。
階級は甲と柱の次。彼女も錆兎や煉獄ほどではないにしろ、決して弱くはないだろう。
いつの間にやら2人も増えた剣士に、猗窩座はうんざりするでもなく、むしろ歓喜で目を踊らせる。
煉獄と同じ強者が、目の前にいるのだから。
「煉獄には劣るが、凄まじい闘気だ。お前も鬼にならないか?」
「お前がその頸を落とすのなら考える」
「それは難しい話だ!」
構えを取り、足元に雪の結晶のような陣を出現させる鬼に、錆兎は前傾した体勢でゆらりと揺れるように刀を振るう。
【水の呼吸】
【破壊殺・空式】
無数の衝撃波が風を切り、錆兎に迫るが、彼は構えを変えることなく真っ直ぐ猗窩座に向かっていく。側から見れば捨て身のように見えるが、決してそういうわけではない。
【雪の結晶】
錆兎の後ろから跳び上がるようにして、Aは居合の構えから横向きに刀を振り抜く。
【肆ノ型
衝撃波が刀にぶつかり、ギシギシと嫌な音を立てるがギリギリのところで持ち堪え、威力を殺す。
普通の剣士ならばどうすることも出来ないであろうその衝撃波を退けたAに、感心したように猗窩座は目を見開いた。
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squid(プロフ) - シンアさん» コメントありがとうございます!こちらこそ、面白いストーリーを提供していただきありがとうございます。頑張ります! (2019年8月3日 17時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
シンア - 続編頑張ってください!!お花見のストーリありがとうございます (2019年8月3日 17時) (レス) id: 35c1a3a4d0 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年8月2日 22時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
りんご - foooooo!!!))ついに来ましたね、続編!!更新頑張ってください (2019年8月2日 21時) (レス) id: 65b8d779c9 (このIDを非表示/違反報告)
squid(プロフ) - シンアさん» コメントありがとうございます!夏に合わせて海に行ったりとかを考えていたのですが、お花見も良いですね。参考にします、ありがとうございます! (2019年8月1日 20時) (レス) id: bf945fda6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:squid | 作成日時:2019年6月1日 20時