親子はじめました【番外編2】

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「A」


涙でびしょ濡れの頬を
ユンギの手が包んでその顔を見上げる


「愛してなきゃ出来ないよな」


ぼろぼろ溢れ続ける涙を拭って
そう言ったユンギの顔が一瞬悲しそうに歪んだ


「グクを愛してるから俺達こんなに悩んで、
何気ない誰かの言葉に傷つく」


どれだけ疲れていても、
一生懸命話す言葉を聞き逃さないように耳を傾けて
ゆっくりご飯食べられなくても、
こぼしながら食べる姿を最後まで見守って
ぼんやりする時間が欲しくても、
もう何十回もやった同じ遊びを一緒にやって
ふらふらで眠たくても、
泣き止むまで抱っこして外を歩いて。

愛がなくて、できるわけがない。


「グクを愛してるからあいつが寂しくて悲しいと、
俺達も寂しいし、悲しい」


ぎゅうっとユンギが私を抱きしめた


「大丈夫。俺たち何も間違ってない」

『っ』

「見ろよ、あれ」


リビングの壁に貼った画用紙
グクが一生懸命描いた、私たちの絵


「俺たち、どんな顔してる？」

『、笑ってる』

「あいつが描く俺たちの絵、全部笑ってるだろ」


そうだ。グクが描く私たちの絵は
全部楽しそうに笑ってる


「俺たちが愛してるってこと
ちゃんとグクの目にうつってる」

『っうん』

「まだ足りねぇならもっと愛してやればいい」


ユンギがどんな気持ちでそう言ったのか、分かる。


「あいつが寂しくなくなるなら
もっと声を聞いて、もっと抱きしめてやろう」


簡単じゃない
だけどそれは、私たちがあの日心に灯した想い


「愛してるから出来ること、全部やろう」


グクと一緒に過ごすことを選んだ
私たちの責任であり、決意。


『ゆんぎ、』


ずっと胸にかかっていた曇った感情が
その一言で澄んでいくような、そんな気がした

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