親子はじめました【番外編2】

＿ ページ36

『おいで、だっこしよ。大丈夫だからね』

「まま、っ、うぅ」


しがみついたまま泣き止まないグクを抱っこして
暗い部屋をうろうろ歩き回る


「A、変わる」

『うん』

「ぅうー、っ いやぁ！」

「グク、落ち着け。大丈夫だよ』

「っひっく、」

「俺達ちゃんといるだろ。な？」


ユンギに抱っこされて優しく背中を撫でられても
大きな目からはぼろぼろと涙が溢れ続ける


『グクが好きなテレビ見ようか、今日は何がいいかなぁ』


リビングへ出て
見ていたドラマからアニメの画面に切り替える


「お。お前が好きなズートピアじゃん」

『ほら見て、グクが大好きなジュディだよ』


色々やってみた。
そりゃもう思いつく限りは大抵やった。
絵本を読んだり、音楽を聴かせてみたり、外を歩いたり。

それでも私達はグクが泣き止むこれといった方法を見つけられないでいる

もう何回見たかもわからないズートピアをぼーっと眺めて
ユンギの腕の中で静かになったグクを覗き込む。


『寝た？』

「寝たかも」


ベッドに寝かそうと立ち上がると
静かだったグクがジタバタと動き出す


「っ、やぁっ！ぱぱぁっ！」

「ごめんごめん、寝てなかったな。
大丈夫、大丈夫。ズートピア見ような」

「ぅうーっ、ままっ、」

『ここにいるよ、大丈夫』


濡れた目で私達を見上げると
またユンギの胸にしがみついてぐすぐす泣き出す


「ダメだな今日」

『もう3時…』


泣き疲れて眠るのを待って
ソファーでユンギとふたり目を閉じる。


『っ！いまなんじ、やばいやばいユンギ！』

「やべ、寝てた」

『朝だよ！7時！準備しなきゃ！』

「うわやば。俺今日会議」


気がついたら朝になっていて
ふたりであたふたリビングを走り回る


それが私達の、最近の日常

＿→←▽その答えは、愛

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す