親子はじめました【番外編2】

＿ ページ26

『ただいま』

「おかえり。あれ、テヒョンは？」


リビングの扉を開けると
ソファーに転がっていたユンギが不思議そうに私を見る


「一緒かと思ってた。帰ったの？」

『うん、』

「へぇ 珍しい」


そう。珍しい。
いつもなら帰れと言ってもついてくるのに。
どういうことなのかパフェを食べ終えると
いつもは絶対出さないお金まで置いて
用事があるからとさっさとカフェを出て行った


「なにその顔」

『…テヒョンに結婚の事話したんだけど、』

「うん」

『反対って、言われた』


まだ若干困惑しながらソファーに座った私に
ユンギが眉を下げる


「そう。なんで反対かは聞かなかった？」

『聞く前に帰っちゃった』


ぽん、と頭を撫でられて小さく息を吐く


「また時間ある時あいつと話そう。そんな顔すんなよ」


喜んでくれると思ってた。
いつもみたいに、ひひっと笑って
おめでとうって言ってくれるって。
なのに、なんであんな。


『…なんかだんだん腹立ってきた』

「だろうな、顔がそんな感じだわ」

『大体なんであんな言い方されなきゃいけないの？！』


カフェでの会話を思い出して
言えなかった文句が今更湧き上がってくる。

誰が浮かれてるって？
年中浮かれてる奴がなに言ってんの？
考えれば考えるほど腹立つな。
しばらくの間絶対口聞いてやんないから！


『ムカつく！』

「落ち着けよ。カフェオレ飲む？」

『飲む』


興奮ぎみに受け取ったマグカップの中で
カフェオレが揺れる
そこにうつった私の瞳も、ゆらゆら揺れているように見えた。

＿→←▼午後5時、黄昏時

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