親子はじめました【番外編2】

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「ヌナ、寒くない？俺の上着着て」

『だから暑いって』

「もう黙って勝手にいなくなるし、全然言うこと聞いてくれないよ君のママ」


お腹に向かってそう言うと唇を尖らせる


『あぁー、赤ちゃんがうるさいって言ってる』

「え、ほんとに？」

『うん。ほら、聞いてみて』

「…？」


お腹に耳を当てるとなんとも言えない表情で
私を見上げるから思わず吹き出しそうになる


『聞こえた？』

「うーん待って、今なんか言ってる？」

『言ってる』

「なんて言ってる？！」

『オレンジジュース飲みたいって言ってるな…』

「え！買ってくる！」

『うん、はやくね。喉乾いてるから』


私が。

ぴゅんと立ち上がって廊下の奥にある自販機に走っていくホソク


『ホソクー』

「はーいー？」

『はやくー赤ちゃん待ちきれないってよー』

「ちょっと待っててって赤ちゃんに言ってー！」


ちょっと待っててだって。
すごいねー、ホソク足早いねー。
と心の中でお腹に話しかけてひとりで笑う


「おまたせ」

『あーやっぱりオレンジジュース最高だね』

「って言ってる？赤ちゃん？」

『うん』


多分。


「早く会いたいな」


優しく優しく、その手が触れる

何度もホソクの口から聞いたはずのその言葉。
それを聞くたびに同じ気持ちになる。


『この子も早く会いたいって言ってるよ』

「ほんと？」

『うん、ほんと』

「楽しみだな。生まれたら毎日会いに行っちゃお」


いいよってうっかり言っちゃいそう。
ユンギに怒られるかな。

触れていた手がお腹を撫でて笑う。


「待ってるね、大好きだよ」


まだ見ぬこの子のことを、大好きだって。
ホソクの手があたたかい


「あ、ヌナの事も大好きだよ！」

『うん。ありがとう』


私も大好きだよ、ホソク



「オフィス戻ろっか。ジミンが騒いでると思う」

『ははっ、そうだね』


暑いのに肩からかけられた上着を着て
ふたりで廊下を歩く


じわり、じわり


ひとりで歩いてきた時よりも足取りは軽い

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