親子はじめました

おかあさん ページ45

『グク、どうしたの？』

「ないてるよ、」


いつものスーパーでグクが見ていたのは
ひとりで泣いている子供だった


『ぼく、どうしたの、迷子かな？』

「おかあーさぁあん！」

『あぁ、泣かないで、お姉ちゃんと一緒にお母さん探そう』


そんなに大きくないスーパーで
泣いているその子とグクと手を繋いで歩く


「テオっ！もうどこにいたのっ
勝手にいなくなっちゃダメでしょう！」


そんな私達に駆け寄ってきた女性が
その子に声を上げて立ち止まる


「すみません、ありがとうございました」

『あ、いえ。良かったね』

「っうん、おねえちゃんありがとう、」


涙を拭いて手を振る姿にホッとして
その子に手を振り返すと、ぎゅっと握られる手


『グク？』

「ぐくのおかあさんはいつむかえにくる？」

『え…』


なんて答えて良いのか分からなくて言葉に詰まる

おばさんに会ったあの日から
心の中に残るもやもやした感情。

迎えに来るよ、大丈夫だよって言えない私がいた


「おかあさん、ぐくがなくからきらいになったのかな、」

『グク…』

「ぐくおかあさんのおかおわすれちゃうよ」




その日から、グクが夜中に泣くことがなくなった。









『なに書いてるの？』

「ままとぐく」

『お、じゃあこっちはユンギとグクかな？』

「うんっ」

『…もうおかあさんは書かないの？』

「おかあさん？」

『うん。前は書いてたじゃん。』

「わかんない。
ぐくおかあさんのおかおしらないもん」

『し、らないって』

「ままみてぇ、ぐくのおててあおいろついちゃったあ」


ー ままのおかおわすれちゃうよ


まさか。そんなことって。






『グクがおかしい』

「おかしい？なにが」


首を傾げたユンギが
テレビの前に座ってるジョングクを見る


『わかんない、』

「わかんないってお前」

『最近、おばさんの絵書かなくなったから
聞いたの、もう書かないのって。
そしたら、顔しらないって』

「知らないって、」

『もしかして、おばさんのこと…』






「ジョングク」

「なぁに」

「お母さんのことだけど、」

「おかあさんって？」

『グクのお母さんだよ』

「ぐくの？どんなひと？」

「、お前…」

『……』

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